
1933年(昭和8年)、東京・白金の御料地の一部を敷地として朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)は竣工しました。約一万坪の敷地の庭園部分には、広々とした芝生が広がり、日本庭園、盆栽・花卉園が備わり、鶴や孔雀などの動物たちが闊歩していました。同邸宅内の壁面には、遠景に山々を望む森林や水を湛えた庭園の風景が描かれており、室内に居ながらにして自然の中にいるかのような装飾プランが展開されています。主要客室の装飾を手がけたフランス人装飾芸術家アンリ・ラパン(1873–1939)によって描かれたこの一連の装飾画は、朝香宮邸のコンセプトを読み解く鍵であると共に、当時のフランスにおける庭園芸術との関連性を指摘することのできる作品でもあります。
同邸の装飾プランに多大な影響を及ぼしたとされる1925年のアール・デコ博覧会において、「庭園芸術」は初めて独立した出品分類として設けられるなど、重要視されていました。造園家のみならず、建築家や装飾芸術家も “庭”を如何に“装飾”するかということに心を砕き、各パヴィリオンの周囲や街路には多様な庭園が造りこまれました。
本展では、博覧会を中心とした両大戦間期のフランスの近代庭園を巡る動向に着目し、古典主義・エキゾティシズム・キュビスム的要素を取り入れて展開していった様について、絵画や彫刻、工芸、版画、写真、文献資料等、約120点の作品からご紹介します。本展を通して、当館建築の装飾や空間自体についてのより一層の理解を深めることを目指します。
展覧会基本情報
展覧会名
装飾の庭
朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術
会期
2023年9月23日(土・祝)- 12月10日(日)
会場
東京都庭園美術館(本館+新館)
東京都港区白金台5-21-9
ハローダイヤル 050-5541-8600
休館日
毎週月曜日 (ただし、10月9日(月・祝)は開館)、10月10日(火)
開館時間
10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで)
*ただし、11月17日(金)、18日(土)、24日(金)、25日(土)、12月1日(金)、2日(土)は夜間開館のため夜20:00まで開館(入館は19:30まで)
観覧料
一般 | 当日1,400円 | 団体(1,120円) |
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大学生(専修・各種専門学校含む) | 当日1,120円 | 団体(890円) |
中学生・高校生 | 当日700円 | 団体(560円) |
65歳以上 | 当日700円 | 団体(560円) |
*( )内は団体料金。団体は20名以上(事前申請が必要)
*小学生以下および都内在住在学の中学生は無料
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者2名は無料(手帳の提示をお願いします)
*第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料
*2023年10月1日(日)は開館40周年を記念して入館料は無料
主催
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館
年間協賛
戸田建設株式会社
ブルームバーグ L.P.
1. ピエール・トゥラン《現代装飾美術産業美術国際博覧会 メダル》1925年、東京都庭園美術館
2. 東京都庭園美術館本館 小客室壁画
3. 「グラン・サロン」『フランス大使館パヴィリオン』1925年、東京都庭園美術館
4. ジョルジュ・バルビエ「薔薇の庭 ウォルトのイヴニング・ドレス」『ガゼット・デュ・ボン・トン』3号 1922年、大村美術館(秋田・角館)
5. ロベール・マレ=ステヴァンス「庭園」『1925年パリ装飾美術博覧会:建築と庭園』1925年、東京都庭園美術館
6. レイモン・シャルメゾン「赤の小径」『貴重な庭園』1919年、東京都庭園美術館
7. ジョセフ・コルミエ、セーヴル製陶所/窯《女性と子ども》1931年、東京都庭園美術館
8. エドゥアール・ベネディクトゥス『ルレ』1930年、東京都庭園美術館
9. アンヌ=マリー・フォンテーヌ、セーヴル製陶所/窯 花瓶《アンヌ=マリー・フォンテーヌNo.2》1933年頃、ロムドシン
10. ジャン・デュパ《パリスの審判》1923年、×△◯ BA-TSU ART GALLERY
11. 東京都庭園美術館本館 ウインターガーデン
12. ルネ・ラリック 立像《噴水の泉 ガラテ》1924年頃、大村美術館(秋田・角館)