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ABOUT THE MUSEUM 本館の各室について

  • 正面玄関

     正面玄関ガラスレリーフ扉はフランスのガラス工芸家ルネ・ラリックの作品です。朝香宮邸のために新たにデザインされました。翼を広げる女性像は、型押ガラス製法で作られています。一点ものであるということとその大きさを考えると、ラリックの作品の中でも貴重な作品といえます。また床全面のモザイクは細かい天然石で制作され、デザインは宮内省内匠寮技手の大賀隆が手がけました。
     ラリックのガラスレリーフを正面にして左の扉は第一応接室に、右の扉は受付外套がいとう室につながっています。

    内装設計:宮内省内匠寮
    壁:外国産・国産大理石
    扉:ガラスレリーフ(制作者:ルネ・ラリック)
    扉(第一応接室側、受付外套室側):
    イングリッシュオークフラッシュドア
    床:外国産大理石モザイク張り

  • 第一応接室

     玄関を入って左の間口から直接入ることができる部屋で、宮家を訪ねた来賓の御用係や供待が主人を待つ部屋として使用しました。室内の柱・扉・窓枠に使用されている木材はカエデ材で統一されています。床は市松張りにされたケヤキ材の周りに黒檀やカリンが配された寄木張りになっています。また、壁紙は竣工当時と同じくスイス、サルブラ社製のテッコーシリーズで復原されています。

    内装設計:宮内省内匠寮
    壁:サルブラ社製《テッコー》A5-217モスグリーン(復元)
    扉:イングリッシュオークフラッシュドア(玄関側)
    カエデフラッシュドア(次室及び小客室側)
    床 寄木(市松張り)、ケヤキ、黒檀、カリン

  • 大広間

     大広間は壁面にウォールナット材を使用し、装飾を抑えた重厚な空間を作りだしています。天井には格子縁のなかに40個の半円球の照明が整然と配置され、正面のアーチにはさまれた鏡と大理石のマントルピースはシンメトリーの落ち着いたデザインに華やかさを添えています。中央階段右手の大理石レリーフはイヴァン=レオン・ブランショの作品《戯れる子供たち》で、古典的作風が空間に和らぎを与えています。

    内装設計:アンリ・ラパン
    壁:ウォールナット
    扉:ウォールナットフラッシュドア

  • 小客室

     四方の壁面にはアンリ・ラパンの油絵が張りめぐらされています。淡いグリーンを基調として描かれた樹木と水のある風景が、室内に居ながら森の中にいるような印象を与えています。テラスに通じる扉の上部に「H. RAPIN」のサインを見ることができます。マントルピースの石材はギリシャで産出される蛇紋岩「ティノス・グリーン」が使われています。

    内装設計:アンリ・ラパン
    壁:壁画(油彩、キャンパス/制作者:アンリ・ラパン)
    扉:ペローバフラッシュドア

  • 次室つぎのま

     南側のテラスに面した次室は大広間から大客室へのつなぎの役割をもっています。白磁の「香水塔」、モザイクの床、黒漆の柱、朱色の人造石の壁、そしてガラス窓から広がる庭園の緑、これらが織り成す色彩のハーモニーは、大広間の落ち着いた色調とは対照的にアール・デコ特有の華やかな空間を形成しています。白漆喰の天井は半円球のドームとなっており、装飾過多になりがちな空間に調和をもたらしています。この小さな空間においても材質・色彩にアール・デコの特徴が顕著にあらわれています。
     「香水塔」はアンリ・ラパンが1932(昭和7)年にデザインし、国立セーヴル製陶所で製作されたものです。「香水塔」には水が流れるような仕組みが施されていたので宮内省の図面などには「噴水器」との記述がされていました。朝香宮邸時代に上部の照明部分に香水を施し、照明の熱で香りを漂わせたという由来から、後に「香水塔」と呼ばれるようになりました。フランス、セーヴル陶製所では" Vase Lumineux Rapin"(ラパンの輝く器)と記録されています。

    内装設計:アンリ・ラパン
    壁:人造大理石 
    柱:特許88539号漆塗り(蝋色漆塗り仕上げ)
    扉(第一応接室及び小客室側):
    桐フラッシュドア(漆塗り仕上げ)
    引き扉(大客室側):銀引き鏡(ブロンズ製押縁付き)、
    その他(ブロンジングスプレー仕上げ)
    床:モザイク
    噴水器台:鉄筋モルタル(蝋色漆塗り仕上げ)
    噴水器水受け:岐阜産大理石

  • 大客室

     南側の庭に面したテラスを控え、旧朝香宮邸のなかでも最もアール・デコの粋が集められているのが、この大客室と次に続く大食堂です。イオニア式柱頭をもつ柱にはシコモール材が使われ、天井にはシャンデリアを囲む漆喰仕上げの円や石膏によるジグザグ模様が施されています。壁面の上部を囲むように木製ボードに描かれた壁画はアンリ・ラパンによるものです。また、ルネ・ラリック制作のシャンデリア、扉上部にあるレイモン・シュブのタンパン装飾、マックス・アングランの銀引きフロスト仕上げのエッチング・ガラスを嵌めこんだ扉や暖炉のレジスター装飾等、この部屋では幾何学的にデザインされた花が主なモチーフとして用いられています。

    内装設計:アンリ・ラパン
    照明:名称《ブカレスト》(制作者:ルネ・ラリック)
    壁:シコモールベニヤ
    サルブラ社製《サルブラ》30162クリーム(現在撤去)
    扉:エッチング・ガラス(制作者:マックス・アングラン)、
    ブロンズ製押縁付き、その他(ブロンジングスプレー仕上げ)

  • 大食堂

     大食堂と隣の大客室とはエッチング・ガラスの引き戸で仕切ることができます。南面に庭園を望み、大きく円形を描く張出し窓は、開放的な独特の空間を形作っています。来客時の会食用に使用された部屋ということで、ルネ・ラリックの照明器具《パイナップルとザクロ》やガラス扉等にくだものがモチーフとして使われ、ラジエーターカバーには魚貝がデザインされています。暖炉の上の壁画はアンリ・ラパンの作で、赤いパーゴラ(つる棚)と泉が油彩で描かれています。植物文 様の壁面はレオン・ブランショのデザインによるものです。このレリーフはコンクリート製でフランスから送られてきましたが、到着時にヒビが入っていたため日本で型を取り石膏で作り直し、銀灰色の塗装が施されました。

    内装設計:アンリ・ラパン
    照明:原題「パイナップルとザクロ」(制作者:ルネ・ラリック)
    壁:石膏(デザイン:レオン・ブランショ)
    扉:エッチングガラス(制作者:マックス・アングラン)、ブロンズ製押縁付き、その他(ブロンジングスプレー仕上げ)

  • 小食堂

     この部屋は朝香宮一家の日常の食事に使用されました。西洋スタイルの朝香宮邸の中にあって珍しく、全体に和の要素が取り入れられた部屋です。天井は杉の柾板まさいたが使用され、床の間も設けられています。ラジエーターカバーはブロンズ鋳物で制作されており、日本古来の源氏香の模様がデザインされています。床の寄木はローズウッドを中心にしてケヤキ材が施されており、その周りを黒檀で装飾しています。

    内装設計:宮内省内匠寮
    壁(床の間):節織金霞ふしおりきんかすみ(現在撤去)
    扉:杉杢板唐戸(框はヒノキ板)
    床:寄木、ケヤキ、黒壇、ローズウッド

  • 第一階段

     建物の中央にある第一階段は1階の客間から2階の家族の居室へ通じる階段です。それはフランス仕立てのアール・デコの空間から「日本のアール・デコ」の空間へ移行する階段ともいえます。
     階段のステップ、腰壁、手摺りには外国製大理石のビアンコ・カラーラをはじめ3種類の大理石が用いられています。手摺りのデザインはアール・デコの特徴であるジグザグのラインが強調され、嵌めこみ金物はブロンズ 製銀イブシ仕上げで、二階広間の照明柱、天井照明とともにアール・デコ特有のパターン化された花模様で統一されています。照明柱の付け根には水盤が付けられるなど、細部に渡って意匠を凝らした設計となっています。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁:ラフコート 腰壁:外国産大理石 床:外国産大理石
    階段:外国産大理石、外国産ガラス 
    絨毯:ウィルトン織(現在撤去)

  • 二階広間

     2階の広間にはじまる家族の居住空間は、主に宮内省内匠寮の技師によってデザインされました。ラジエーターレジスター(暖房器用カバー)には日本の伝統模様である青海波が使われるなど、所々に和の要素が取り入れられています。壁面にはコテなどの道具による模様付けが均一に施され、左官職人による匠の技を見ることができます。また、窓の下には造り付けのソファーがあり、宮家時代にはピアノが置かれ、ご家族のくつろぎの場となっていました。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁:ラフコート

  • 若宮寝室

     建物2階東側の約3分2を占めるのが若宮寝室・合の間・若宮居間の3室です。各部屋の照明は宮内省内匠寮技手の水谷正雄がデザインした国産品です。各部屋ごとに異なる意匠が凝らされており、旧朝香宮邸の見所のひとつといえます。この部屋の張り出した窓には竣工当時のサッシがそのまま残されています。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》737-50 ベージュ(現在撤去)
    扉:チークフラッシュドア

  • 合の間

     白漆喰のヴォールト天井と土壁風壁面のコントラストが特徴的な空間です。

    内装設計:宮内省内匠寮
    扉:ウォールナットフラッシュドア

  • 若宮居間

     若宮居間は正面玄関の真上に位置し、車寄せの屋根をベランダとしています。
     ほぼ正方形の室内は飾り丸柱がアクセントを添え、竣工当時は深いブルー系の壁紙が張られていました。漆喰の天井は美しい円型の左官仕上げ、中央にはステンドグラスによるペンダント照明が暖かみのある雰囲気を醸し出しています。
     ベランダの床は関東大震災後に普及したせっ器質のタイル、クリンカータイルが使用されています。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》RA27Dダークブルー(現在撤去)
    扉:チークフラッシュドア

  • 書斎

     書斎は正方形の部屋の四隅に飾り棚を設置することにより室内を円形に仕上げています。
     シトロニエ材の付け柱が四方に配置され、ドーム型の天井と間接照明により求心的な空間が演出されています。絨毯、机、椅子も室内と同様に、アンリ・ラパンによりデザインされました。書斎の左隣には書庫が併設されています。

    内装設計:アンリ・ラパン
    壁:シトロニエベニヤ
    扉:シトロニエフラッシュドア
    床:寄木張り(市松張り)、ケヤキ・カリン・黒檀

  • 殿下居間

     高さのあるヴォールト天井が空間に広がりをあたえ、ヒノキ材の付け柱、大理石の暖炉と鏡が落ち着いた品格を添えています。
     ラジエーターレジスター(暖房器用カバー)のデザインにはアール・デコによく見られる噴水がモチーフとして使われています。これは日本側でデザインされ、電気鋳造により製作されたものです。壁紙とカーテンは、現存する壁紙にならって2014年に復原しました。

    内装設計:アンリ・ラパン
    壁紙:麻、綿、レーヨン(ジャガード織り)
    (2014 年ポリエステル素材で復原)
    扉:ヒノキフラッシュドア
    床:絨毯

  • 妃殿下寝室

     楕円形の鏡の付いた白いドア、上下に移動のできる布シェード付きの照明など、女性の部屋らしい雰囲気に溢れています。ラジエーターレジスター(暖房器用カバー)は妃殿下ご自身がデザインされたものです。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》RA35B(現在撤去)
    扉:ヒノキフラッシュドア

  • 殿下寝室

     居間や書斎と比べると装飾は控えられ、寝室にふさわしい落ち着いた雰囲気をもっています。柱と扉にはクスノキが使われており、4か所の扉にはクスノキの玉杢たまもくが装飾として使用されています。玉杢とは、樹木のこぶのある面をスライスすると現れる、比較的大きな同心円形の模様のことです。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》757-9ブルーグレー(現在撤去)
    扉:クスノキフラッシュドア

  • 妃殿下居間

     やや浅めのヴォールト天井に取り付けられた5つのボール状の照明は、各部屋ごとに意匠を凝らした照明のなかでも特に大きく際立っています。1枚ものの大きな鏡、実用的な造り付けの棚や開き戸など、隅々に妃殿下の趣味嗜好がうかがえます。
     庭を望む南面には半円形のバルコニーを備え、床には昭和初期に美術タイルとして名を馳せた泰山タイルが敷き詰められています。

    内装設計:宮内省内匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》31380シルバーグレー(現在撤去)
    扉:ヒノキフラッシュドア

  • 姫宮寝室

     姫宮寝室はサクラ材が多く使用されています。現在も竣工当時のまま残るテッコーの壁紙は妃殿下のアドバイスをもとに、姫宮の好みで選ばれました。寝室はブルーを基本とした直線と水泡模様のデザインの壁紙が張られ、光によって微妙に変化をもたらすメタリックな輝きを放っています。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》31374メタリックブルー
    扉:サクラフラッシュドア
    床:寄木(矢羽張り)、ケヤキ

  • 姫宮居間

     姫宮居間は扉や床にモミジ材が使われています。部屋にはサーモンピンクの大理石製マントルピースと円形の鏡があり、姫宮の部屋に相応しい可憐な和らぎを感じさせます。壁紙は虹色の波形ストライプ、姫宮寝室とは対照的に明るい色彩となっています。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁紙:サルブラ社製《テッコー》RA32Bストライプ
    扉:モミジフラッシュドア
    床:寄木(矢羽張り)、ローズウッド、ケヤキ、カーリーメープル

  • 第一浴室

     殿下と妃殿下の寝室の間にあるこの浴室はおもに殿下が使用した浴室といわれています。
     床には山茶窯つばきがま製陶所製のモザイクタイル、壁にはフランス産の大理石「ヴェール・デ・ストゥール」が使われています。朝香宮邸では他に姫宮用の第二浴室、若宮用の第三浴室がありました。

    内装設計:宮内省内匠寮
    壁:外国産大理石 扉:チークフラッシュドア
    床:モザイクタイル

  • ベランダ

     建物の南側にあるこのベランダからは芝庭や日本庭園が一望できます。殿下、妃殿下の居室からのみ出入りできる、ご夫妻専用のベランダです。床には国産の黒と白の大理石が市松模様に敷かれています。

    内装設計:宮内省匠寮
    腰壁:国産大理石
    扉(殿下居間及び妃殿下居間側):
    チークフラッシュドア
    扉(殿下寝室及び妃殿下寝室側):
    スチール製ガラス嵌め込み
    床:国産大理石

  • 北側ベランダ
    (北の間)

     北側に位置するベランダは南側のベランダに対して「北の間」と呼ばれ、夏期の家族団らんの場として使用されていました。上部には天窓を設けて外光を採り入れ、開放的な屋外の雰囲気を演出しています。柱にはチーク材を浮造りにして柾目を浮き立たせ、床には陶器の釉薬を施した布目タイルがモザイク状に張られるなど手の込んだ作りとなっています。二階広間との仕切りの窓のフレームは直線で構成され、モダンな空間を形成しています。

    内装設計:宮内省匠寮
    腰壁:スクラッチタイル(泰山タイル)
    扉:チーク造りガラス入り
    床:布目タイル(泰山タイル)

  • ウインターガーデン

     ウインターガーデンは温室として屋上階に設けられました。室内には花台や水道の蛇口、排水口が備え付けられています。市松模様に白と黒の石を敷き詰めた床は人造大理石、腰壁には国産大理石を使用していますが、素材の違いがわからないように施工されているところに当時の職人の技術の高さをうかがうことができます。1932(昭和7)年5月に東京松坂屋で開催された「新興独逸建築工芸展」で殿下自身が購入された、マルセル・ブロイヤーのデザインした椅子が置かれていました。

    内装設計:宮内省匠寮
    壁:漆喰
    腰壁:国産大理石
    扉:スチール製ガラス嵌め込み
    床:人造大理石

展覧会によっては公開していない部屋もございます。
  • 正面玄関
  • 第一応接室
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  • 小食堂
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  • 二階広間
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