アール・デコの粋を集めた旧朝香宮邸
本館(旧朝香宮邸)は、宮内省内匠寮が設計し、主要な部屋の内装をフランスの室内装飾家アンリ・ラパンが担当。更にアール・デコ期を代表する作家、ルネ・ラリックやレイモン・シュブらの作品も採用され、そこにはアール・デコの世界観が見事に結実しています。保存状態も非常に良好な室内装飾は見どころです。
貴重な“里帰り”作品も
本展では、修復したオリジナル家具や同時代の美術品による情景再現やかつての邸宅の実際の写真等が、往時の生活空間に鑑賞者を誘います。
また、朝香宮家の人々を紹介しながら、当館所蔵の朝香宮家伝来品に加え、国内各地に所蔵されていて、本展のために里帰りしてきた衣装、工芸、調度など稀有な作品を展示します。精巧で美術的価値の極めて高い宮家ゆかりの品々をご覧いただける貴重な機会です。
特別出品 ボンボニエール
明治から、慶事の際の引出物として使用されるようになったボンボニエール。元々は、西洋諸国で用いられた小型菓子器でしたが、日本の伝統技術を駆使した皇室独自の文化として発展し、今日まで皇室の御慶事を記念する品として引き継がれています。
当館として過去最大規模となる300点以上のボンボニエールが特別出品されます。
さわる庭園美術館
本展では、建物に使われているパーツに直接触れていただくためのテーブル「さわる庭園美術館」を設けました。美術史的・歴史的に貴重な文化財建造物である旧朝香宮邸を美術館として公開しつつ良好な状態で後世に残すため、当館では壁面や内装材へのお手触れをご遠慮くださるよう、みなさまにご理解とご協力をお願いしております。
そこで、建物に使われているパーツに、実際に触れていただくことで、素材そのものの質感やディテール、作り手の思いなど、いろいろなことを感じ取っていただきたいと考え、このテーブルを用意しました。これによって鑑賞の幅がより広がり、また深まることを期待しています。