「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」展関連企画作家への手紙
「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」展関連企画
作家への手紙
アール・デコの館、旧朝香宮邸を舞台に開催されている本展覧会。
みなさまの眼にはどのように映ったでしょうか。
作品を通して感じたこと、疑問に思ったことをお手紙に書いて、作家へ直に伝えてみませんか?
みなさまからのお手紙を作家へお届けします。
作家から返信があったお手紙は、本サイトやSNSで返信とともに公開する予定です。
メッセージ受付期間:11月5日(木)~11月30日(月) 12月20日(日)
受付終了いたしました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
場所:東京都庭園美術館 ウェルカムルーム
入館者対象・無料・事前申込不要(ただし会場が美術館内のため「生命の庭」鑑賞チケットが必要です)
参加する方へのお願い
・メッセージは美術館が用意した便箋をお使いください。
・お手紙の内容は自由ですが、良識あるものであることを心がけてください。
・お手紙には、ハンドル名などを記載してください。
・お手紙には、本サイトやSNSで公開してよいかを必ず記載してください。
・すべてのお手紙に作家からの返信があるわけではありませんので、あらかじめご了承ください。
-
関連展覧会
生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙
2020年10月17日(土)– 2021年1月12日(火)
葉子さんへ
ご感想頂きありがとうございました。
作品を見て誰かが幸せを感じてくださるなんて思ってなかったので、
「幸せでした」と仰って下さってとても嬉しかったです。
青木美歌より
ゆのあさんへ
ご感想頂きありがとうございました。
夢を見ているかの様な空間を感じて頂けたようでとても嬉しく思います。
可愛らしい絵もありがとうございました。
青木美歌より
いしべあゆみさんへ
海の中や宇宙を旅してもらえた様でとても嬉しく思います。
良い1日に感じて頂いてこちらこそありがとうございました。
青木美歌より
ひらおか のぞむさんへ
こんにちは 素敵な感想をありがとう!これまでいろんな素材を使って絵を描いてきたけれど、「土」から「血」への変化は多くの人に驚かれます(だって僕がそのことに自身一番驚いているから当然だよね!)。
作品を見る時に素材のことって普段あまり考えないですよね、素材を想像して見え方が変わるように、例えば他の作家さん達の作品の油絵やアクリル絵の具も元を探ってみると(もっと言えばみんなの着ている服や携帯電話さえも!)もともとこの星のどこかにあった鉱物や植物だったりすることを考えると世界ってカラフルだなぁとまた色々なものが新鮮に感じたりもします、あらゆるものが変化を繰り返しながら今たまたまこの形で自分の目に入ってくる不思議、時々そんな当たり前のことに驚き、また絵を描く力に変えているのだなって思います。
淺井裕介より
masaさんへ
こんにちは 作品の制作過程を見れるのって料理中の厨房を覗くような喜びがあるって僕は思います、その反面 実際に初めてみる驚きが薄れちゃうんじゃないかなと心配もしますが、やっぱり画家の本心としては、作品の置かれ方含めて画像や印刷では伝わりきらないものを作ってやるぞ!ってつもりなのでいつもその勝負をしている感じでsnsを利用しています。(実際に見てあ、こんなもんかって思われないように)
鹿の血で描く事は本当に今までしてきた色々がぐるんって逆回転を始めるみたいに自分にとって大きな出来事でした。それはなかなか一言で言えないのだけど、それでもただ一つわかっている事はこのタイミングで鹿の血を使って描くべきだという事で、それはより自分が自分の絵に近づいていくために描く前も今も確信を持って必要な事だったなと思っています。これからも緩やかに変化をしながら、時々ぐるんって天と地がひっくり返るような驚きを持って描き続けて行こうと思います。
淺井裕介より
M.Kさんへ
僕は絵を描くときによく遠い遠い太古の昔、初めて絵を描き始めた人のことを思います、狩りに出た家族が誰も帰って来ずにたまらなく孤独でいてもたってもいられない気持ちなのか、それとも絶望していたところに吉報が届いた嬉しさで胸がいっぱいなのか、どちらにしてもそのいくつかは胸が張り裂けそうな気持ちでいてもたってもいられずに手を動かして生まれたんだろうなと思っています。
僕の絵は遠く言葉も時間も超えた美術が生まれる前、その人への手紙のような気持ちで描いたりもします。素敵な感想ありがとうございました!
淺井裕介より
YoKo Millさんへ
植物って一見動いていないように見えて、ゆっくりじっくりと環境に合わせて決して無理をせずに形を作っていくものだから、昔からものづくりの最大の手本だと思って眺めています。これまで僕の絵にはたくさんの生き物がうごめいていますが一見動物に見える多くはその植物が基本になっていました、そこに鹿の血を使い出したことで、より動物的なリズムも生まれてきているのかもしれません。
しなやかで、したたかで、優しく、力強い、これからもそういう絵を描きたいなーと思います。
淺井裕介より
A♥Sさんへ
お手紙ありがとう!
鹿の血驚いたでしょう、血って少し怖いイメージもあるからそれを感じさせないように本当に大切に大切に使って描いたんだよ。
美術館に行くと初めて見るものがたくさんあるよね、特に現代美術ってジャンルはまだ生きている今の作家の作品が見られるからひょっとすると今回みたいに作家とお話ししたりできることもあるかもしれないね、色々見ていくとわからなかったものや、わかっていたつもりだったものがまた見え方が変わったりもするから、またいつかA♥Sさんに見てもらえるようにこれからも頑張るね🌱
淺井裕介より
あそかん太ろうさんへ
見にきてくれてありがとう!
テレビやけいたいでんわでは大きな絵ってなかなか見れないから本物を見ると、筆の跡とか、絵の具のザラザラした感じとか小さなところもゆっくり見れて楽しいよね。
それに大きな絵って、例えばお母さんとかん太ろうくんが見ているところが全然ちがっていたりもして、絵の前で気づいたことをお話しするのも楽しいよ、たくさん絵を描いたらテープやのりでそれをつないで(ノートに描いていたら実物じゃなくてコピーでも)大きな絵にするのも面白いかもしれないね!どこまで大きくできるかな?
淺井裕介より
ことこさんへ
かわいいお手紙ありがとう。石は小さいものは接着剤をつけて積んでいます。大きなものは中にステンレスの棒を入れて、倒れないようにしています。いつか作ってるところを見学に来てください。
加藤泉より
Yoko Millさんへ
イラスト付きのお手紙ありがとう。僕の作品がYokoさんの何かに役に立っている気がして嬉しいです。感受性が強いですねー。日々いろんなことを感じて生きてるんでしょうねー。
加藤泉より
くろぶた好きさんへ
作品が分かれている理由は、まず、僕がつなぎ目フェチだからです。なので、木彫も、ソフビも、つなぎ目は隠しません。むしろ強調。それを絵にも活かしたものが今の仕事になります。作品の情報をより複雑にしています。
加藤泉より
リームさんへ
蝶は、人間の生と死と復活のシンボルと言われることもあります。蝶々が飛んでいるように見えたのは、きっと、そこに夏奈がいたかもしれませんね。ありがとうございます。
康夏奈の家族より
みにむさん、Yさん、キノボリカンガルーさんへ
フィンランドは国土の10%が湖なので、湖を使って作品を作ることを考えていました。2月のフィスカルスはマイナス18℃くらいで、鼻水も凍る寒さです。もうすぐ完成するその前に大雪が降ってしまい、マジかーーーと言いながらごはんも食べずに掘り直していました。しんどくても夢中になれることと向き合えている映像だからこそ、皆さんの心を揺さぶったのかも知れませんね。
康夏奈の家族より
mentiraさんへ
手紙ありがとう。joyful のシールとられたらどうするか笑?いい質問だなぁ!考えたことなかった!
でもあの馬の口にくわえてる絵筆、あれはジョイフルホンダっていうホームセンターで買ったんだよね。もともと筆買った時のシールなんだけど、、やっぱ絵のあそこにブルーがあった方がいいだろ?そう思わない?
小林正人より
kanaさんへ
手紙ありがとう。
俺が三角の作品をつくる時は、いつも最初は木枠二本だけで形を動かしながらやって、最後にもう一辺を加えて完成するんだよね。いつも形を動かしながら考えてる。
だから四角いキャンバスが三角形の絵になることもあるし、ひしがたの絵になることもあるんだよ。
頭の中にある三角と目の前のそこにある三角は違うでしょう?
小林正人より
もみじさんへ
手紙ありがとう。
完璧か。。完璧ってなんだろう?!パーフェクト💯そんな物がこの世界にあるだろうか?
もちろん言葉では俺も口にします。ただの言葉だ!イメージは伴いません。
完璧というイメージが無いんだから、それを崩すという発想も無い。
理想はあります。自分が夢みる理想形を目指して日々作品をつくっています。
俺が完璧な美を体現しようとしてる???😱
いやいやいや!とんだ買い被りです笑。作品を放っといて、もしそんな事やってるとしたら「アーティスト小林正人」はタコだね笑!
小林正人より
彩加さんへ
幼少期のことや祖母との想い出が甦ったというエピソードを教えてくれて、ありがとうございました。作品をつくるときはなるべく演出を排除し、普遍的な(あるいは匿名的な)表現になるよう心がけていますが、それは観てくれる人の個人的な記憶が重なる余白をつくりたいからです。このような彩加さんにしかない固有の感想を聞けることも、作品を発表する喜びの一つです。こちらこそ感謝しています。
志村信裕より
シンタロウさんへ
普段、身につけているものが、どうやって作られているのか気になったことはありませんか?僕にとっては、その一つが羊毛で編まれたセーターでした。人間は昔から冬の寒さをしのぐために、羊毛という自然素材を活かしてきましたが、時代の変化によって羊毛の「価値」が変化してきたことに興味を持ちました。当たり前のように身近にある日常的なものについて考えるのが僕は好きです。
現在は絹に興味があり、次なる新しい作品をつくろうとしているので、また作品を観てもらえたら嬉しいです。
志村信裕より
吉濱いほりさんへ
45分もある《Nostalgia, Amnesia》を最後まで観てくれて、ありがとうございました。アイルランドのゴールウェイには羊がたくさんいると知ってから、訪れてみたい場所の一つでしたので嬉しい偶然です。やはり、ゴールウェイでも羊毛自体の価格は下がってきているのですね。また、作品のなかで「手」に注目してくれたのも嬉しかったです。いつか、羊農家で育った旦那様にも作品を観てもらえる日が来ますように。
志村信裕より
Sさんへ
感想をありがとうございました。「忘却」にこだわるのは、人間が抱く「なつかしさ」という感情に興味があるからです。ある時、自分の作品を見てくれた方から「なつかしい」という感想を聞かされた時、それまで自分ではまったく意識していなかったのでハッとしました。「なつかしさ」という感情は人間以外の他の動物も感じるものなのか、時々ふと考えます。もしも人間にしかない感覚だとしたら、人間らしさとは過去と現在を重ねられることなのではないでしょうか。もちろん人は日々体験したことをどうしても忘れていきます。でも、忘却に抗うように、思い出すということができる人間の脳は改めてすごいなと思います。思い出すきっかけは様々で、それがアート作品であったらいいなと思いながら、過去や記憶をテーマにした作品を作っています。
志村信裕より
時としててらさんへ
金魚や小さな花火を見て、幸福な気持ちになってもらえて嬉しいです。小さな発見っていいですよね。僕も何かを発見できた時はハッピーな気持ちになります。小さな幸福を感じる時?やっぱり美味しいものを食べてる時でしょうか。
志村信裕より
S.Kさん、はなのままさんへ
世界の色々な施設で、地上の植物の種を保存して後世に残すプロジェクトが行われているそうです。それは私には植物の方舟のように思え、このカセットプラントの発想の一つになっています。なぜカセットケースなのかというと、標本を入れる容器のように、カセットケースが手ごろな透明の箱で、当時はどこでも手に入れやすい既製品だったからです。この透明な小箱に一房の花や葉を入れて、一つひとつの植物のかたちや色の違い、自然の造形の不思議を感じてもらえるのではないかと。それをたくさんつなげると、植物のステンドグラスのようにもなり、その空間が植物に包まれます。ドライフラワーと造花を組み合わせたのは、この展覧会「生命の庭」の、企画段階の当初のタイトルが「Human/Nature」とだったので、人間のつくった人工物と自然を対比させたかったのです。
山口啓介より
kanaさん、茶トラねこさん、Mさん、自炊さん、文乃さんへ
観察が鋭いですね。別のお手紙の方にもお答えしたのですが。この展覧会「生命の庭」の、企画段階の当初のタイトルが「Human/Nature」とだったので、人間のつくった人工物と自然の植物の造形力を対比させたかったのです。これは予想されたことですが、会期の最初の頃は、ドライフラワー状に処理されている自然の植物は生き生きとしていましたが、時間を経るにしたがって、ある部分は脱色されていきました。自然物ですから枯れていくのですね。採取された植物のこだわりといえば、シダなどはできるだけ立地のある場所から採取しています。一方、100円ショップなどで入手した造花は会期中、色がほぼ変わらず、人がどちらに印象が残るのか、また両方をどのように感じられたのか、さまざまと聞いてみたいと思っていて、お手紙、それぞれ興味深く読ませていただきました。
追伸:あのカセットプラントは一つずつ独立していて、今回はあるコレクターの方が美術作品のための倉庫に大切に保管しておられます。
山口啓介より
Yさんへ
「真逆のベクトルの強烈なエネルギー」、「繊細だけど大胆」と印象を書いて頂いて、本当に嬉しいです。アートというのは自分が作品というボールを投げても、いったい自分はどこに向かってボールを投げているんだろうということが宿命的にあります。Yさんのお手紙は、私の投げたボールが確実にひとりの人に届いたということだと感じました。
先日、「レジリエンス(回復する力)」という船名がつけられたクルードラゴン1号機の打ち上げ成功がありましたが、コロナ禍の中で、「レジリエント(強靭で柔軟)」という言葉が使われだしているようです。この言葉、とくに、強靭で柔軟であるということ、今後の世界でとてもリアルになってくるような気がします。
山口啓介より
なあさんへ
大きな絵画のあの青はのテラテラした感じは、透明な被膜の中に青い顔料の粒子が溶け込んでいることで、あんな感じになっているのです。白いフォルムは、ある葉を広げたかたちなのですが、昔の人はなぜかその葉のかたちが心臓に似ていると思ったそうです。
山口啓介より
森の妖精さんへ
ご指摘のように、恐らく私自身の中に二面性あります。分裂症じゃないかとも思っています。
その中でも、絵を描いている自分がコアだと思います。カセットプラントや、大きな彫刻作品は、多くの人の手もお借りして制作することになりますが、絵画だけはどんないに大きくても一人で描くということを、なぜか自分に課していて、その一人だけで描いて成立できる絵画の限界を知りたいということもあって、どんどん大きくなっていってしまいますね。
繊細か鈍感なのかあるいはその両方なのか…。
山口啓介より
まなんなさんへ
お手紙拝読し、驚きました。二十年というのはそういう時間なのですね。西宮市大谷記念美術館の展覧会は、私にとって初めて美術館での個展でしたので、深い思い入れがあります。その展覧会にでていた絵画の作品も、実は庭園美術館の新館に、最近の新しい絵画の仕事と向き合っています。あの部屋にも二十年近い時間を経た作品が共に並んでいるのですね。あの頃は、カセットケース(カセットテープ)はどこのコンビニでも買えたのですが…今の、まなんなさんの目には、カセットプラントがどう見えたでしょうか。こんな再会は、とても作家として嬉しいです。大変な時代となっていますが、もし美術に関わる仕事につかれたら、どこかで、今度はつくる側として再会できるかも知れませんね。ありがとうございました。
山口啓介より
青木正美さんへ
2002年の西宮市大谷記念美術館のワークショップに娘さんとご参加されていたことに感謝致します。このような素敵な再会の声が、手書きの文字で届いてくることは、めったにありません。よくぞ書いてくださったと思いますが、今回の「作家への手紙」の企画を立ててくださった方にも感謝です。西宮の美術館は、阪神大震災の時は避難所になったと聞きます。現在、このカセットプラントのように、多くの美術ボランティアの人々とのご協力に支えられていますが、今のようにボランティア活動の行わるようになったのも、あの時からと言われています。いま、コロナ禍で世界中がほぼ同じ災害に直面していますが、何度も災害にあって来たこの国の社会の復元力を私は信じます。時を経て、お二人での展覧会のご高覧、本当にありがとうございました。
山口啓介より
宮下美波さんへ
葉っぱのきざきざ、いいですよね。この庭園美術館の庭にはシダという植物がいっぱい生えていて、シダの葉もとても複雑なギザギザなんですよ。いつもカセットプラントには自然の花や葉っぱを入れるのですが、今回は、あえて人の手でつくった造花も使っています。造花もかなりがんばっていますが、やはり近くでみると、どうでしょう。自然の葉はドライフラワーにしてもだんだん色が消えていきますが、造花は色があまり変わりませんね。自然の本物の葉っぱと、人がつくった造花の違いを、じっくり見て、感じてもらえたのではないかな、と思いました。お手紙の字、とてもかわいいです。
山口啓介より
ひいらぎさんへ
そうです、意図があります。自然の植物の造形力は、隅々まで手を抜いていないと思います。
それは人の手が頑張っても追いつけないほど凄い。でも本物の植物は、展覧会の最初はとても鮮やかなのですが、時間が経つとドライフラワーにしても、とくに緑色はどんどん色が抜けていって白くなっていきますし、枯れてしぼんでしまいます。反対に人工の造花はほぼ変わりありません。どっちの在り方に、今のわたしたちは親しんでいるでしょうか。そんな、ちょっと不条理な、違いを感じてもらえたらと思います。
山口啓介より
お問合せ先
東京都庭園美術館 事業係 「作家への手紙」担当
Tel 03-3443-0201 Fax 03-3443-3228
E-mail:info@teien-art-museum.ne.jp