メインコンテンツにスキップ

TTM: IGNITION BOX DOMMUNE「EXTREAM QUIET VILLAGE」vol.3 〜野生の声帯

イベント

image

TTM: IGNITION BOX
DOMMUNE「EXTREAM QUIET VILLAGE」vol.3 〜野生の声帯

「発火装置」の意味をもつTTM: IGNITION BOXは、2014年のリニューアル・オープンに伴ってスタートした東京都庭園美術館発のパフォーミングアーツ・プログラム。各回異なる分野からアーティストやクリエイターをディレクターとして迎え、演劇、ライブ、映像、ダンス…が融合する、通常の展覧会の形式では紹介しきれない領域横断的な表現の場を生み出してきました。

今回三度目のディレクターを担当する宇川直宏率いるDOMMUNEは、2010年3月の開局以来、渋谷のスタジオを拠点に3,000以上約5,000時間もの番組を配信、ビューワー数約10,000以上/回、トータル視聴者数4,700万人を超える、インターネット・ストリーミング放送局です。日々、国内外のDJ、ミュージシャンのライブや、古今東西の文化を横断するトーク・プログラムを配信するほか、震災以降の福島を中継基地にした《DOMMUNE  FUKUSHIMA》、東日本大震災復興支援フェスティバル《FREEDOMMUNE》、オーストリアでのアルスエレクトロニカでの《DOMMUNE LINZ》、そしてドイツで開催された文化庁メディア芸術祭国際展での《DOMMUNE DORTMUND》など…世界各国にサテライトスタジオを開設し、インターネットと現実空間を横断するプログラムを全世界に向けて発信してきました。宇川はスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの”現在美術”作品と位置づけています。

2017年1月、イグニションボックスとDOMMUNE、この二つのプロジェクトが初めて出会った「EXTREAM QUIET VILLAGE」では「実験的な微音フェスティバル」を掲げ、新しい音の体験を生み出し、約12,000人ものビューワーを記録しました。2018年1月にはその第二章として「装飾の生命線」を開催し、当館で同時開催した「装飾は流転する Decoration never dies, anway」展に連動したテーマで、時代とともにうつろう装飾と、その装飾が表象する世界そのものを読み解こうと試みました。空間や時間を”装飾する”というコンセプトは、DOMMUNEから日々全世界に向けて発信される数多の表現と、インターネットを通じた計り知れない波及力は、どこか装飾が持つ横溢するような増殖性をも想起させ、約23,000人ものビューワーを記録しました。

そして今回は当館とのコラボレーション第三章として、発声や声帯にフォーカスしたパフォーマンスを改めて捉え直す試み「野生の声帯」を開催いたします。肺から押し出された空気が声帯を動かし、空気を振動させて音を作り出し、声が生まれる。声帯に息を通し振動させて、口の中で発音すると言葉が発生します。このマジカルな”野生の楽器”は、時として人間の魂に眠る獣性を解放し、時として理性によって制御し、発声を音楽化します。人間の感情の拠り所であり、現代神話を形作る”声”をテーマにしたこのイベントは、当館開催中の展覧会「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展と連動するプログラムです。生活、伝統、そして独自の神話と色濃く結び付き、様々な文化を形作って来たもうひとつの「野生と想像力の物語」を展開します。

2018年8月11日(土)13:00-17:15(予定)
開場:12:30
定員に達しましたので観覧の受付を終了しました。
会場:東京都庭園美術館 新館 ギャラリー2
ストリーミング:DOMMUNE

無料 *ただし会場が美術館内のため「ブラジル先住民の椅子」展の当日有効チケットが必要です。

定員:90名

【出演者】
山川冬樹(ホーメイ歌手、全身美術家)
Salyu(ヴォーカリスト)
清野茂樹(フリーアナウンサー、実況)
カヒミ カリィ(ミュージシャン)
巻上公一(音楽家、ヴォイスパフォーマー)
山崎阿弥(声、造形作家)<フィリピンから声のみの参加>
MOODMAN(DJ/ヴォイスセット)

Direction & Live streaming by 宇川直宏/DOMMUNE(現在美術家)

山川冬樹 Fuyuki Yamakawa

Photo: Yuriko Takagi

  • プロフィール
  • メッセージ

現代美術家/ホーメイ歌手。自らの声と身体を媒体に視覚、聴覚、皮膚感覚に訴えかける表現で、音楽、現代美術、舞台芸術の境界を超えて活動。身体をテクノロジーによって音や光に拡張してみせるパフォーマンスや、南シベリアの伝統歌唱「ホーメイ」を得意とし、これまでに16カ国で公演を行う。現代美術の分野では、社会と個人をめぐる声の記憶を扱ったインスタレーション『The Voice-over』(1997〜2008/東京都現代美術館蔵)、「パ」という音節の所有権を、一人のアートコレクターに100万円で販売することで成立するパフォーマンス『「パ」日誌メント』(2011~現在)などを発表。2015年横浜文化賞 文化・芸術奨励賞受賞。

声とは私とあなたの狭間に姿を現す幽霊。或いはそれが物理的な振動であることをやめても私たちの心を呪縛し続ける呪い。発声のメカニズムは拍子抜けするほど単純で、いずれにせよ私たちが「声」と呼ぶものとは人間が喉から発する音のことではなく、その音にまとわりつく呪われた部分のことのようである。そして幸いなことに、私たちは未だに己の喉に近代以前の未開の領域を抱えながら、この野蛮な方法での交歓をやめていないのだ。

Salyu

  • プロフィール

2000年、Lily Chou-Chouとして2枚のシングルと1枚のアルバムをリリースする。2004年、小林武史プロデュースのもとSalyuとしてデビュー。以降17枚のシングル、6枚のアルバム、1枚のベストアルバムをリリース。昨年5月にはSalyuと小林武史2人編成による初となる香港公演がソールドアウトし、12月には自身2度目となる台湾公演を開催し、大きな反響を呼んだ。また、2年半ぶりとなるフルバンド編成でのライブを中野サンプラザホールにて開催し、大盛況のうちに幕を閉じた。

清野茂樹 Shigeki Kiyono

  • プロフィール
  • メッセージ

1973年兵庫県神戸市生まれ。フリーアナウンサー。現在のプロレス実況の第一人者で、2015年には新日本プロレス、WWE、UFCという世界3大メジャー団体の実況を史上初めて達成。その対象はリングだけに留まらず、コンサートに出演直前のももいろクローバーZ、世界陸上でウォーミングアップするウサイン・ボルト、日比谷野外音楽堂に登場する細野晴臣、将棋で対局するジェームス三木など、何でも実況してしまう”特殊実況”を得意とする。近年は実況を話芸に昇華させた「実況芸」の確立にも挑戦中で、落語家の春風亭一之輔、講談師の神田松之丞らと共演を果たす。

さあ、突然の挑戦状が突きつけられたッ!伝統の西洋絵画を実況するという異種格闘技戦に私の闘志は早くも燃えております!500年近いキャリアを誇る歴戦の強者たち、まったく動かない絵画に闘いは膠着必至といったところでしょうか。もはや時代は古舘伊知郎ではない!野生の声帯を持った私の新たなる挑戦!ハッテンイチイチ、決戦のゴング鳴る!!

カヒミ カリィ Kahimi Karie

  • プロフィール
  • メッセージ

ミュージシャン、フォトグラファー、文筆家。’91年デビュー以降、国内外問わず数々の作品を発表、NHK FMのパーソナリティー、連載コラムや映画コメント執筆、字幕監修なども手掛ける。菊地成孔氏や大友良英氏らのセッションにも参加し話題に。ボサ・ノヴァ永遠の名盤『ゲッツ/ジルベルト』、サラヴァレーベル50周年アルバム「50ans de Saravah」に歌唱参加。ニューアルバムは「It’s Here」2010年リリース。エッセイ本『小鳥がうたう、私もうたう。静かな空に響くから』(主婦と生活社)。
フランスの絵本の翻訳『おやすみなさい』(著:ヴィルジニー・アラジディ/カロリーヌ・ペリ シエ アノニマ・スタジオ刊)。翻訳本「サンタへの手紙」(クロニクルブックス・ジャパン)発売。NY在住。

自分の中にある野生をはっきりと感じたのは初めて出産をした日の夜。窓から満月を見た時その場所は大昔に逆戻りし、私は森の奥深くで夜空を見上げ、溢れる月光を浴びた動物のような感覚になった。闇に感じる様々な音。生物達の息遣い、シンクロする娘と自分の心臓の音。闇そのものさえ鳴っているように感じ、私は驚いて声を出さず喉だけで泣いた。野生と微音、そして声帯。素晴らしいイベントに参加させて頂けて、とても幸せです。

巻上公一 Koichi Makigami

  • プロフィール
  • メッセージ

ヴォーカリスト、プロデューサー。1978年結成のヒカシューのリーダーとして作詞作曲はもちろん、声の音響やテルミン、口琴を使ったソロワークやコラボレーションを精力的に行っている。トゥバ共和国の喉歌ホーメイは日本の第一人者、97年から毎年トゥバやアルタイから音楽家を招聘、喉歌国際交流を組織している。テルミンは、通常の奏法を逸脱したカンフースタイルを確立。口琴はバシコルトスタンのローベルト ザグレッヂーノフを師とし、様々な口琴を使いこなす。歌らしい歌から歌にならないものまで歌う歌唱力には定評があり、ヨーロッパ、アジア、アメリカなどの世界のさまざまな音楽フェスティバルにも招聘される他、〈JAZZ ART SENGAWA〉〈Festival Neo Voice〉〈湯河原現代音楽フェスティバル〉〈John Zorn’s COBRA〉など、ユニークなフェスティバルやシリーズ公演をプロデュースしている。最新アルバムは『TOKYO TAIGA』(tzadik)。ソロヴォイス作品に『KUCHINOHA』『KOEDARAKE』、口琴作品に『ELECTRIC EEL』(3作共にtzadik)、テルミン作品に『月下のエーテル』(doubt music)、歌のアルバムに『民族の祭典』『殺しのブルース』(東芝EMI)など多数。ヒカシューの新作はライブアルバム『絶景』
http://www.makigami.com/

「野生」で思い出すのは、英国のヴォイスパフォーマー、フィル・ミントンのFeral Choir (野生の聖歌隊)だ。
通常のコーラスから逸脱したうなり声や金切り声をコントロールしつつ解放する。
コンセプトは、feral domestic feral で、飼いならされた鳥が再び野生にかえる如く声を解き放つ。
このコンセプトにうっとりするものの、庭にやってくる蛾眉鳥はどうなのか。とてもうるさいのだ。

山崎阿弥 Ami Yamasaki

Photo: 山本糾

  • プロフィール
  • メッセージ

声のアーティスト、美術家。声によって空間の音響的な陰影を感得しパフォーマンスやインスタレーションを制作する。NYを拠点に坂本龍一、刀根康尚、イクエ・モリ、Ned Rothenberg、Chris Pitsiokosらと共演。Earl Howard、Phill Niblock、Carl Stoneらとの交流で研鑽を積む。現在はリサーチと実践を兼ねフィリピンに滞在中。国内外での作品発表・演奏のほか、国立国際美術館やアーツ前橋でのWS講師、NHK大河ファンタジー『精霊の守り人Ⅱ」ナレーションと音響効果、宮崎駿監督作品への声の提供、TEDスピーカーなど。Asian Cultural Council グランティ(’17)、国際交流基金フェロー(’18)。

野生とは身体に属するのだろう。
歌うとき、野生を宿した身体と心との間に起こる張力/テンションが獣性であろう。歌う身体は暴れ心を振り回すが、心は冷静に歌を発電し身体を震わせる、いつも。身体は息などせずに歌える。
この風景が声ではなかろうか。

でも今回、そこに私の身体はない。
声はギャラリーを身体に見立ててやってくる。

歌うとき、野生などは過程に過ぎない。
人としての野生が実現したその先が、問題なのだ。

MOODMAN

  • プロフィール
  • メッセージ

DJ。ムード音楽をこよなく愛する男。80年代末にDJ活動を始め、90年代初頭にいくつかレーベルを運営。以降、ドメスティックな音楽シーンに横断的に関わる。宇川直宏氏、高橋透氏と組んだGODFATHER、HOUSE OF LIQUID、SLOWMOTIONなどのレジデントパーティをはじめ、TAICOCLUB、森道市場、RAWLIFEなどのインディペンデントな屋外フェスに多数出演。記念すべき第1回のDJを担当したDommuneでは、自身の番組『moodommune』を不定期で放送中。2016年に設立した新レーベルINDUSTRIAL JPでは、2017年ADCグランプリ、グッドデザイン賞金賞、2018年メディア芸術祭優秀賞などを受賞した。

素敵な機会をありがとうございます。山崎阿弥さんとのコラボレーション、今から愉しみにしております。ちなみに、ずいぶん前に宇川くんと「怖い音とは何か」というテーマで試聴会&座談会をしたことがあるのですが、その時の結論は「人間の声がいちばん怖い」でした。

宇川直宏 Naohiro Ukawa
映像作家 / グラフィックデザイナー / VJ / 文筆家 / 京都造形芸術大学教授 / 「現在美術家」……幅広く極めて多岐に渡る活動を行う全方位的アーティスト。既成のファインアートと大衆文化の枠組みを抹消し、現在の日本にあって最も自由な表現活動を行っている。2010年3月に突如個人で立ち上げたライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」は、開局と同時に記録的なビューアー数をたたき出し、国内外で話題を呼び続ける。2016年には『アルスエレクトロニカ』のトレインホールにステージ幅500MのDOMMUNEリンツ・サテライトスタジオを開設し、現地オーストリアからのストリーミングが世界的話題となった。2019年、瀬戸内国際芸術祭にて、DOMMUNEの最新プロジェクトを展開予定。
http://www.dommune.com/DOMMUNE
宇川直宏が開局した、日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル。番組を媒介に、未踏のコミュニケーションの可能性を映し出すことを目的に、2009年10月より実験配信開始、2010年3月1日開局。「ファイナル・メディア」として忽然として現れ、百花繚乱のライヴストリーミング番組の中でも、ビューアー数と番組の質を誇る。毎週月曜日から木曜日の19:00から24:00のに、日々2本のプログラムを基本フォーマットとして平日毎日5時間配信中。DOMMUNEは現在世界に溢れているDJストリーミング、サブ・カルチャープログラムの殆ど全ての雛形を作ったと言っても過言ではない。配信した番組は現在3000番組以上/7千時間を越え、トータル視聴者数5,000万人を超える、従来の「放送」や「出版」そして「広告」という概念やそのフォーマットが破綻していく現代において、ライブにおける動画配信の実験を重ね、新たな視覚コミュニケーションの可能性を日夜革新的に炙り出し続けている。宇川はDOMMUNEスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの”現在美術作品”と位置づける。また世界各国にサテライトスタジオを開設し、ストリーミング/パフォーマンスを行っている。http://www.dommune.com/

お問合せ先
東京都庭園美術館 事業企画係 「イグニションボックス」担当
Tel 03-3443-0201 Fax 03-3443-3228
E-mail:info@teien-art-museum.ne.jp