photo: Hervé Cabezas
photo: Hervé Cabezas
両大戦間期のフランスでは、美術家たちが植民地に派遣され、美術作品の制作や美術教育を行いました。こうした作品は、今日、植民地美術(コロニアル・アート)と呼ばれています。第二次世界大戦後の民族独立の機運の中で、それまでの植民地主義のネガティヴなイメージから、これらの作品は積極的には紹介されてきませんでした。
こうした状況を変えたのはブーローニュ=ビヤンクールの30年代美術館で、1989年の「1920-1940年の植民地的なるもの」展の開催し、植民地美術の常設展示を設けています。また、本年はパリのケ・ブランリ美術館で「遠い世界の絵画」展が開かれるなど、植民地美術が再認識されつつあります。
本講演会では、大戦間期の美術、なかでも植民地美術を専門とし、近年の再認識の動きの中心にいる美術史家ドミニク・ジャラセ氏を招き、アール・デコと美術をめぐる植民地体系、そして近年生まれている植民地美術に対する新しい視点について考察します。
日時:2018年10月20日(土)14:00~
会場:東京都庭園美術館 新館ギャラリー2
講師:ドミニク・ジャラセ氏(美術史家、ミシェル・ド・モンテーニュ=ボルドー第3大学教授)
*逐次通訳がつきます
参加費:無料 ※ただし「エキゾティック×モダン」展の入館料が別途必要。
定員:120名
お問合せ先
東京都庭園美術館 事業企画係 「エキゾティック×モダン」展 講演会担当
Tel 03-3443-0201 Fax 03-3443-3228
E-mail:info@teien-art-museum.ne.jp
エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し
2018年10月6日(土)〜 2019年1月14日(月・祝)
ドミニク・ジャラセ
ボルドー・モンテーニュ大学現代美術史教授。パリ第4大学ソルボンヌに博士論文を提出。フランス建築研究所において研究者として展覧会「フランスにおける水の都市」Villes d'eaux en France展に従事。(1983―1985年) その後クレモン=フェラン大学に勤務。「フランスにおけるシナゴーグの時代 1791-1914」(Le Temps des Synagogues en France 1791-1914)(オルセー美術館、1991年)を含む様々な展覧会を企画。ユダヤの遺跡、美術、浴場建築に詳しい。ヨーロッパの浴場遺跡の世界遺産登録における専門家。また、美術史における歴史記述、美術と人類学の関係、特に植民地美術の領域についての研究を行っている。その研究は、ローマにおけるフランスのアカデミーと関わりのおける、大戦間期のアール・デコ及びフランスの美術にも及ぶ。
植民地美術については「植民地における作家たち」(Nos artistes aux colonies)というタイトルで学会、展覧会及び雑誌を企画。2018年にケ・ブランリ美術館で開催された「遠い世界の絵画」展(Peinture des lointains)のカタログに寄稿。本展に関連して10月10日と11日開催されるシンポジウム「植民地美術―フランスと植民地間におけるアーティスト及び文化産物の循環」(Les Arts coloniaux. Circulation des artistes et des artefacts entre la France et ses colonies)に登壇予定。
主な著書は以下のとおり。L'Age d'or des synagogues (1991) , Rodin (1993) , Une histoire de synagogues françaises. Entre Occident et Orient (1997) , Synagogues. Une architecture de l'identité juive (2001) , L'art des jardins parisiens (2002) , Guide du patrimoine juif parisien (2003) , Synagogues de Tunisie (2010) , Existe-t-il un art juif ? (2013に再編)