1.アール・デコ様式の邸宅建築として「唯一無二の空間」を堪能
朝香宮夫妻は、パリ滞在中の1925年(大正14)7月に訪れたアール・デコ博覧会から刺激を受け、帰国後この最先端のデザインを取り入れた邸宅建設に着手します。設計を担ったのは、宮内省内匠寮の建築技師・権藤要吉。権藤もまた、1925年から1年間、欧州等への建築研究を命ぜられていました。当時そこで見聞きしたすべてが、旧朝香宮邸に凝集されています。本展では、朝香宮夫妻と権藤の欧州滞在にまつわる貴重な品々やアルバム写真を通して、朝香宮邸の建築そのものの魅力の源泉に迫ります。
2.「外交」を司る館
時の首相・吉田茂は、1940年代後半から外相・首相公邸として朝香宮邸を活用しはじめます。1951年(昭和26)9月に開催されたサンフランシスコ講和会議。吉田はこの場所から全権団の代表としてアメリカへ旅立ちます。一国の主権回復を懸けた平和条約調印に向け、様々な構想をこの公邸で練ったとされています。
公邸としての役割をあとにした1955年(昭和30)からは、国の迎賓館として19年間もの間、多くの国賓を招き入れました。当時を物語る資料・写真・作品等を通して、国の外交の最前線を担った館の姿をお届けします。
3.約6年ぶりの「夏」の建物公開展
毎年恒例の建物公開展。夏の開催は約6年ぶりで、緑風香る庭園を望めるように窓のカーテンを開け、かつて人々が往来した邸宅空間の再現展示を行います。さらに本館3階のウインターガーデンを特別公開します。新館では、美術館として開館して以来、装飾芸術との関連で国内外問わず収集している現代作家の作品を展示します。また、さわれる展示コーナーを設け、来館者とのインタラクティブな体験を目指します。夏休みのおでかけシーズンにぜひお越しください。