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ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉

ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉
2016年1月16日(土)–4月10日(日)

会場:東京都庭園美術館(本館・新館)



とよ田キノ子コラム

展覧会関連プログラム報告「もしもガレがガラス職人に手話で指示したとしたら」


「植物学に対する私の愛をわかっていただければ、私の作品についてもっと多くを理解していただけることでしょう」
―美術評論家エミール・ハノーヴァーに宛てたガレの書簡より

ヨーロッパの19世紀末を彩る装飾様式「アール・ヌーヴォー」。その立役者の一人であるエミール・ガレ(1846-1904)は、花や昆虫など自然をモチーフとした作風で知られ、陶芸・ガラス・木工家具の3分野で活躍し、1889年と1900年のパリ万国博覧会でグランプリの栄誉に輝いたアーティストでした。彼は、自然の描写を通して抽象的な概念を表現することで、ガラスや木工家具を単なる装飾ではなく、哲学的な世界観を表す芸術作品へと昇華させたのです。
その背景にあったのは、植物学への情熱でした。彼は2,500~3,000種の植物を育てていた広大な庭や豊かな自然の中で、つぶさに植物を観察して論文を書き、種の進化やライフサイクルに強い関心を寄せていました。本展では、「もっとよく植物を観察せよ!」というガレの気迫を伝えるデザイン画(オルセー美術館所蔵)とともに、植物に魅せられた一人の男がその生命や象徴性を追究した表現として、ガレの作品を紹介します。

展覧会基本情報

会期:

2016年1月16日(土)–4月10日(日)

会場:

東京都庭園美術館(本館・新館)

休館日:

第2・第4水曜日(1/27,2/10, 2/24, 3/9, 3/23)

開館時間:

10:00–18:00
*ただし3月25日(金)、26日(土) 、4月1日(金)、2日(土)、8日(金)、4月9日(土)は夜間開館のため20:00まで
(いずれも入館は閉館の30分前まで。)

観覧料:

一般:1,100(880)円
大学生(専修・各種専門学校含む):880(700)円
中・高校生・65歳以上:550(440)円

( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。
小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者一名は無料。
教育活動として教師が引率する都内の小中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)。
第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料。
前売り券e+(イープラス)にてオンライン販売いたします。 http://eplus.jp

主催:

公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、東京新聞

後援:

在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、
公益財団法人日仏会館、日本ガラス工芸学会

特別協力:

公益財団法人北澤美術館、オルセー美術館

協力:

エールフランス航空/KLMオランダ航空

年間協賛:

戸田建設株式会社

展覧会の見どころ

  • ガラス作品とデザイン画、100年ぶりの邂逅
    本展では、ガレの遺族の手を経て現在パリのオルセー美術館が所蔵する、ガレのデザイン画が展示されます。水彩のデザイン画は、展示することが許される期間が短いため、オルセー美術館でも滅多に公開されません。
    また、デザイン画があっても、それが実作と一致することはきわめて稀なことですが、今回は北澤美術館が行った調査により、実作と一致するデザイン画をご紹介します。コレクターの手を経て今は日本にあるガラス作品と、オルセー美術館に眠るデザイン画の、100年ぶりの邂逅です。
  • 邸宅美術館でガレを見る
    当館の本館展示室は、1933年(昭和8年)に建てられた住宅建築をそのまま展示室として使用しています。壁画やマントルピースや鏡、柱や照明器具などがそれぞれ表情を作り出す部屋と、展示作品との響きあいを鑑賞するというのが当館オススメの楽しみ方です。
    「ガレの庭」展では、この邸宅美術館の空間を、ガレが愛してやまなかったラ・ガレンヌの自邸と庭に見立てて楽しんでいただきたいと思います。1階にも2階にもある庭に面した大きな窓を通して、さまざまな植物が生い茂るガレの庭と、その庭を眺めるガレの姿や心象を想像しながら、作品をご覧ください。
  • 「植物マニア」としてのガレ
    展覧会のタイトルにもあるとおり、ガレは広大な庭でたくさんの(約3,000種。そのうち400種ほど日本の植物やその変成種も育てていたといいます)植物を育てていました。筋金入りの植物マニアへの道は14歳の時に友人とともに植物採集に打ち込んだことから始まりました。そして大人になってからも、フランス国立園芸協会やナンシー園芸中央協会などで中心的なメンバーとして活躍しています。
    ガレの作品における植物の描写は、緻密な博物画とは全く異なるアプローチですが、ガラス器自体の形を球根や花弁の形にするなどの奇抜なアイディアも、植物の生態や形体をよく知っているからこそ生まれるものだったのでしょう。
  • ルネ・ラリックとエミール・ガレ
    当館の本館建築には、ガラス工芸家ルネ・ラリックの作品が使用されております。ガラスがお好きな方にとっては、「ラリックの館でガレを見る」またとない機会になります。
    ガレとラリックは、同じ1900年パリ万国博覧会で活躍しました。その時ガレは54歳で家具とガラス部門でグランプリを受賞し、ラリックは40歳で宝飾部門でグランプリを獲得し名声を確立します。ガレはその4年後に白血病で亡くなりますが、ラリックは宝飾から離れてガラス工芸家の道を歩み始め、1920年代から30年代のアール・デコを牽引しました。
    芸術作品として哲学的な思索をガラスに込めたガレと、多くの人に美しいものを届けるため量産の道を探ったラリック。有機的なフォルムを描き出すアール・ヌーヴォーと、幾何学的でシンプルな美しさを目指すアール・デコ。20世紀初頭のガラスの歴史を凝縮したような出合いをご覧いただけます。

関連プログラム

  • こちらのイベントは終了しました。

    手話とトーク
    「もしもガレがガラス職人に手話で指示したとしたら」

    [参加費無料(要展覧会チケット・事前申込制)]

    2016年1月23日(土) 14:00−16:30
    会場:展示室内および新館ギャラリー2

    コーディネーター:NPO法人エイブル・アート・ジャパン
    「美術と手話プロジェクト」

    プログラム報告

  • こちらのイベントは終了しました。

    ラーニング・プログラム「あーととあそぶにわ」

    2016年3月11日(金)、3月12日(土)、3月27日(日)
    各日12:00-15:00

    展覧会ごとに行っているファミリー向けのプログラム。
    「ガレの庭」展に関連した内容で、お庭で一緒に遊びます。

  • こちらのイベントは終了しました。

    シルバーデー・レクチャー「ミュージアムに行きましょう」

    [参加費無料(要展覧会チケット・予約不要)]

    2016年2月17日(水)、3月16日(水)
    11:30-/15:00- 各回30分程度

    会場:新館ギャラリー2
    講師:八巻香澄(当館 ラーニング・プログラム担当)

  • こちらのイベントは終了しました。

    講演会「ガレの庭 自然と象徴」

    [参加費無料(要展覧会チケット・予約不要)]

    2016年2月6日(土) 14:00−16:00
    会場:新館ギャラリー2
    講師:池田まゆみ(本展監修者・北澤美術館研究企画員)

  • こちらのイベントは終了しました。

    「大学生によるギャラリートーク」

    [参加費無料(要展覧会チケット・予約不要)]

    2016年2月12日(金)& 2月19日(金)
    11:00−/13:00−/14:00−/15:00− 各回30分程度

    武蔵野美術大学 芸術文化学科 杉浦幸子研究室の学生によるトークです。

  • こちらのイベントは終了しました。

    インターンによるギャラリートーク

    [参加費無料(要展覧会チケット・予約不要)]

    2016年2月26日(金)14:00−
    会場:展示室内(集合場所は看板等にてご案内します)
    トーカー:佐伯百々子(東京都庭園美術館インターン)

  • こちらのイベントは終了しました。

    トークイベント「キノコの世界から見たガレ」

    [参加費無料(要展覧会チケット・予約不要)]

    2016年3月13日(日)15:00−16:30
    会場:新館ギャラリー2
    講師:とよ田キノ子(きのこ愛好家・ウェブデザイナー)

上段左から:《脚付杯 ひなげし》 被せガラス、マルケットリー、手彫り、脚台熔着 年記1900年(1900年パリ万国博覧会出品作)/《花瓶 においあらせいとう》 被せガラス、マルケットリー、手彫り 1900年/《花瓶 茄子》 黄斑入りガラス、マルケットリー、頸部熔着、手彫り 1900年(1900年パリ万国博覧会出品モデル)/《蜻蛉文受皿》 スモーク・ガラス、エナメル彩、金彩、金属箔挿入 1878ー1889年

中段左から:《花瓶 木立》 被せガラス、マルケットリー、アプリカッション、手彫り、パチネ 1901-1904年/《ひとよ茸文花瓶》 被せガラス、サリッシュール、マルケットリー・アンテルカレール、アプリカッション、石英粉挿入、手彫り 1900-1904年/《花瓶 松》 被せガラス、アプリカッション、手彫り、マルケットリー、本体と台部を熔着、パチネ 1903年頃/《蘭文八角扁壷「親愛」(カトレア)》 被せガラス、サリッシュール、アプリカッション、手彫り 年記1900年(1900年パリ万国博覧会出品モデル)

下段左から:《デザイン画「脚付杯 ひなげし」》 紙に鉛筆、水彩 1900年頃 オルセー美術館蔵<★>/《デザイン画「蜻蛉文受皿」》 紙に鉛筆、水彩 1878-1889年 オルセー美術館蔵<★>

★以外のすべての作品:北澤美術館蔵 ★:©RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

ページ上部:《デザイン画「脚付杯 ひなげし」》(部分) 1900年頃 オルセー美術館蔵<★>/《脚付杯 ひなげし》(部分) 1900年(1900年パリ万国博覧会出品作)

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