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港区立笄小学校との連携授業

活動報告ブログ

2022年11月、港区笄小学校との連携授業を実施しました。学校で実施した出前授業と、子供たちが美術館に来館した日の様子を報告します。
対象は6年生です。

<1日目:学校での訪問授業>
11月1日。まずは子供たちに美術館に興味を持ってもらうために、当館の学芸員2名(副館長、教育普及担当)が学校に出向いて授業を行いました。3つのクラスを30分ごとにまわります。

同校の卒業生でもある牟田副館長。当時の周辺地域の様子を語ると、子供たちからも「それ知ってる!」といった声があがります。子供時代の土地や歴史への興味と探求が、現在の学芸員の仕事へと繋がっていったエピソードなどが話されました。
子供たちに見せているのは、刀に付属する用具のひとつである「笄(こうがい)」の実物(私物)です。校名の由来でもある「笄」にまつわる話は、子供たちも特に興味を持って聞いていました。
後半は、教育普及担当の学芸員より、来館時に観覧する展覧会「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」の紹介と、鑑賞のマナーを伝えます。

「みなさんにとって“旅”ってどんなもの?」
授業の最後はこんな質問を投げかけました。今回の展覧会では、朝香宮夫妻から現代の作家まで、様々な“旅”の歴史や表現に触れることになります。子供たちの旅の体験・知識はおそらく様々でしょう。それぞれの中で思い浮かべた“旅”と、作品との出会いが、新たな発見につながればと思いました。

<2日目:美術館に来館>
今度は子供たちが美術館にやってきます。雨が心配された当日ですが、天気も持ち、予定通り美術館に到着することができました。
休館日の静かな美術館が子供たちを出迎えます。

まずは新館のロビーに集合し、座って気持ちを落ち着けます。挨拶と今日の内容、マナーなどの再確認を行いました。

ここからは3クラスに分かれて展示室に出発。
本館と新館を3つのエリアに分け、クラスごとに鑑賞を行います。

スクールプログラムの「休館日コース」は、休館日に貸し切りで行うため、数クラスの学年単位でも参加しやすいコースです。通常の開館日では難しい内容も計画することが可能です。

各エリアでは自分が気になる作品を見つけます。一般の来館者に気を遣うことなく、あちこち行き来したり、展示室内での会話もしやすいのは休館日コースの醍醐味です。

本展の最初の展示室「大広間」には、大きな地球儀が展示されています。朝香宮夫妻がパリへ旅した際の航路が記されています。直径約140cmもある大きな地球儀を囲み、知っている国や、地名を指さして会話をする姿も多くみられました。

新館のギャラリーに展示された栗田宏一さんの《「旅」と「土」》の作品では、展覧会を担当した学芸員によるミニトークと鑑賞の時間を設けました。
実際に色々な場所を旅して採取された土が美しく並んでいます。作品を囲んで座りながら、制作のエピソードを聞いたり、好きな色を探したり、じっくりと観察したり。これも休館日だからこその体験です。

3つのエリアをまわったらあっという間に終了の時間です。
再びロビーに集まり、お話を聞きます。
「気になる作品には出会えましたか?」
「“旅”について、何を考えましたか?」

当日の感想は、後日お手紙として当館に届けられました。

半年後には卒業を迎える6年生の子供たち。これから自らの意志でいろいろな場所に出掛けたり、選択をする機会がどんどん増えていくでしょう。当館を訪れたこと、そして展覧会を通して旅にまつわる歴史や、現代作家による様々な表現に触れた時間が、これからの経験や生活の中で続いていくものになればと願います。

概要

スクールプログラム(休館日コース)

学校名港区立笄小学校

学年6年生3クラス(①84名 ②82名 参加)

日時①2022年11月1日(火)13:35~15:10
②2022年11月7日(月)10:00~11:30

場所①港区立笄小学校 ②東京都庭園美術館

撮影かくたみほ (「スタッフ撮影」と記載した画像は除く)

執筆大谷郁(東京都庭園美術館 教育普及担当)