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東京都立足立特別支援学校との連携授業(オンライン)

活動報告ブログ

長引くコロナ禍。活動の制約は徐々に解消されつつありますが、子供たちが通う学校では学外に出掛ける機会が未だ持ちにくいと聞きます。そういった状況に対応するために、当館では本年度よりオンラインでの学校連携事業に取り組み始めています。

10月28日、東京都立足立特別支援学校(鈴木常義校長)と連携し、高等部普通科1年生 (3・4グループ 15名在籍)を対象にオンライン授業を実施しました。同校との連携は今回が2回目です。初回は今年7月、同じ財団内の東京都現代美術館(以下、現美)と協働し、美術館2館と学校をオンラインで繋いだ授業を実施しました。それまでオンラインでの連携授業は未経験でしたが、現美の教育普及担当の学芸員より声がかかり、3者でのオンライン授業が実現しました。当館がコロナ以降ウェブサイトで公開している展覧会のVR画像を使い、各自のタブレット端末で歴史的建物を見る活動などを行いました。
 ▶授業の様子(東京都現代美術館 教育普及ブログ)

今回は東京都足立特別支援学校と当館との2者での連携です。当日は9名の生徒が学校の美術室から参加しました。当館で9月から開催している「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」展を題材に、作品鑑賞と「旅」に関連した表現のワークを行います。

東京都立足立特別支援学校の山本裕史先生による挨拶と導入ののち、まずは当館の学芸員から展覧会と作品を紹介しました。
展覧会では、庭園美術館が「アール・デコの館」と称されるきっかけとなった朝香宮夫妻のパリへの旅の紹介に始まり、現代作家による「旅」にまつわる作品を展示しています。
生徒たちは前回の授業で当館の建物の様子をVR画像で見て、簡単な歴史にも触れています。そこで、まずは展覧会の入口となる朝香宮夫妻の「旅」と当館の繋がりを伝えました。そして現代作家による作品の中からは、栗田宏一さんの《「旅」と「土」》と、相川勝さんの“世界へのヴァーチャルな旅”のシリーズを写真や映像で紹介しました。

栗田さんは様々な場所を旅し、その地で採取した「土」を使い作品を制作しています。展示の会場風景や作品の細部を写真で紹介し、美しく並べられた土の豊かな色合いを画面を通して見てもらいました。そして相川さんには作品の画像・映像データをお借りし、様々なデータから起こされた世界の絶景スポットへの旅を画面上で鑑賞。行かずとも現地を訪れたような感覚を皆で体験しました。
「これはなんだろう?」「どこだろう?」の問いかけには生徒からは沢山の反応があり、会話も弾みます。

授業の後半は表現の活動です。
活動のテーマは「美しい日本の旅」。
今度は生徒各自がタブレットを使って「旅」に出掛け、他の人に見せたい美しい景色を探しに行きます。
まずは山本先生から古くから日本で美しいとされてきた「日本三景」をはじめ、日本各地の名所が旅先の候補地として紹介されました。ワークシートに記載された旅先、または自分の好きな場所から興味のあるスポットを一つ選び、地図アプリ上でその地を訪れます。

ストリートビュー機能を使っていろいろな角度から景色を見てみます。気に入った風景はスクリーンショットで撮影して記録を残します。教室の先生方のサポートのもと、各々が気になる・好きな場所を決めて活動することができました。

休憩を挟み、最後は発表の時間です。
撮影した写真の中からとっておきの1枚を見せてもらいました。
厳島神社、角島大橋、黒部ダム、軍艦島、そして好きな野球場まで・・いろいろな写真が出そろいます。生徒からは好きなポイントを聞き、美術館の学芸員からは写真に対するコメントを行い、対話を通して造形的な見方を深めていきます。
色彩の美しさ、ロケーションの臨場感、「好き!」が感じられたりと、発表ではそれぞれの視点や関心を垣間見ることができました。活動を通して、自然や人工物のもつ造形的なよさや美しさ、 表現の意図や工夫について全体で共有することができました。

終了後のアンケートでは「楽しく取り組めた」と回答した生徒が多数。
美術館に実際に来館することが難しくても、ICT機器の特性を活かし、それに見合ったワークや鑑賞対象の設定を教員と話し合いながら行うことで、豊かな授業を作ることができると実感します。

今後もオンラインでの学校連携授業の可能性を探っていきたいと思います。

実施概要

プログラム名スクールプログラム
学校東京都立足立特別支援学校
学年高等部普通科1年生
日時2022年10月28日(金) 10:35~12:00
場所オンライン(それぞれ学校、美術館から接続)
執筆大谷郁(東京都庭園美術館 教育普及担当)