茶室「光華」の特別公開
東京都庭園美術館では、日本庭園内に茶室を持ち、1年を通して様々な行事を行っています。
本ブログでは、2024年7月23日から8月25日まで開催された「夏の特別公開」の様子とともに、四季折々の茶室の見どころを紹介します。
日本庭園内に佇む茶室「光華」は、武者小路千家の茶人である中川砂村が設計し、大阪の数寄屋大工棟梁平田雅哉が施工して1936(昭和11)年に上棟されました。そして、2015(平成27)年に本館等とともに国の重要文化財に指定されています。
茶室は小間、広間、立礼席の三席からなり、天井が高く、全体が明るい開放的な造りになっているのが特徴です。
この茶室を多くの方に知って楽しんでいただくために、四季折々で茶会や特別公開、トークイベントなどを行っています。
2024年8月25日までに行われた「夏の特別公開」では、暑さがピークを迎えたころではありましたが、蝉時雨とともにガラス風鈴の涼しげな音が茶室内に響いていました。
重要文化財の茶室「光華」にはエアコンがないため、厳しい暑さを感じながらも日本家屋と万緑から涼風を満喫できます。この期間には、青木美歌さん制作のガラスの茶道具を配した広間に上がることができたので、畳に腰を落として解放された窓から「涼」をゆったりと感じられたまたとない機会でした。
一方、冬は夏とはまた違い、静かな茶室を感じていただけます。
日本庭園の木々は葉を散らし、虫の音も聞こえなくなるこの時期は、少し寂しさも感じます。しかし、冬の特別茶会では現代ではあまり感じることのできない炉のほのかな暖を楽しむことができます。静寂な茶室に差し込む日の光と影、炭火の香りは冬ならではだと思います。
静かな冬から段々とにぎやかさが戻る春は、毎年開催される「春の呈茶」を新緑の「青もみじ」が爽やかに茂る庭園でゆったりと時間をお過ごしできます。桜や椿をはじめとした色彩豊かな花々も見ごろを迎える麗らかな春を感じてください。
そして、これからはじまる秋は、隠れた紅葉スポットである茶室「光華」から紅葉の帳を見ていただけます。
「夏の特別公開」と同様に座敷の広間までお上がりいただけるため、茶室と秋の日本庭園を存分にお楽しみください。また、夕方頃から明かりが灯ると温かな照明と美しい葉の色彩を満喫できるため、時間帯によって違った雰囲気を楽しめます。
茶室で行われるイベントはどなたでもご参加いただけます。初心者の方には、お菓子の食べ方、抹茶の飲み方などの簡単なレクチャーをいたしますので、ご気軽にお参加ください。
執筆:東京都庭園美術館インターン 鏑木栞