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館長講座「近代によみがえる古代神話(フランス美術編)」 第1回 想像の市民社会

イベント

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館長講座「近代によみがえる古代神話(フランス美術編)」

令和3年度の館長講座を開催いたします。
今年度のテーマは「近代によみがえる古代神話(フランス美術編)」です。全3回の予定です。それぞれの回に単独で受講することができます。場所は正門横のレストラン デュ・パルクです。緑に囲まれた気持ちよい空間で、寛いだ雰囲気の中での講座はまさに当館ならではです。是非ご応募ください。

※今後の社会状況により、プログラムの内容が変更または中止となる場合があります。

【講師から】

令和3年度の館長講座のテーマは、昨年度に引き続き、「神話」です。ただし昨年は「日本美術」を題材にしましたが、今年は「フランス美術」を題材にしました。
そもそも館長講座のテーマに「神話」を選んだのは、フランスの「アール・デコ」に、ギリシャ神話の神々が出没していたからです。ですから、今年の館長講座には、いよいよアール・デコの本丸に攻め込むのだぞという意気込みが溢れています。ご期待ください。

「近代によみがえる古代神話」を、フランス美術を通して見ていくときに、日本美術を通してみていたときと較べて、もっとも注意しなければならないのは、フランス美術の場合、古代、とくにギリシャ神話から呼び戻された女神たちには、それらがもともと担っていた役割の発露が、期待されていないということです。
たとえばアテーナーは、知恵、芸術、戦略の神でしたが、20世紀前半のフランス人たちが、彼女にそんな役割を求めた形跡はありません。こういう現象が起きたのは、女神たちをよみがえらせた人たちが、アンシャン・レジーム(旧体制)を倒して、ヌーヴォー・レジーム(新体制)を打ち立てた人たちだからでした。つまり、王侯貴族とカトリックに取って代わって、社会の主導権を握った市民階級(ブルジョワジー)は、自分たちの存在を意味づける役割を、アテーナーをはじめとする女神たちのなかに、新たに構築しようとしたのです。だから市民階級は、古代の神々と手を組んで、市民社会を正当化する意味を創りだそうとしたということができるでしょう。

では、その意味とはなんだったのか。それをこれから、3人の女神に焦点を当てながら探っていきます。

1回:
2021年10月6日(水) 14:30~16:00 終了しました

想像の市民社会
彫刻《平和の女神》
ルイ・ドゥジャン(Louis Dejean 1872-1953)作
1935年、ノルマンディー号1等食堂

当日の講義録(PDF)
※資料はダウンロードしてご覧いただけます。無断転載はご遠慮ください。

2回:
2021年11月17日(水) 14:30~16:00 受付を終了しました

想像の伝統文化
彫刻《ノルマンディーの女神》
レオン=ジョルジュ・ボードリー(Léon-George Baudry 1898-1978)作
1935年、ノルマンディー号1等喫煙室

3回:
2022年2月2日(水) 14:30~16:00

想像の植民地経営
彫刻《アテーナー》
アルベール・ラプラード(Albert Laprade 1883-1978)作
1931年、植民地博覧会中心会場(ポルト・ドレ宮)正面玄関脇

場所:東京都庭園美術館敷地内 レストラン デュ・パルク
時間:各回 14:30~16:00(90分)
講師:東京都庭園美術館館長 樋田豊次郎
定員:各回20名(先着順、定員に達ししだい締め切らせていただきます)

参加費:
1名様 1,200円
※展覧会の招待券、年間パスポート、庭園パスポート等をお持ちの方も同額です。
第1回申込方法:
第1回の受付は終了しました。多数のご応募ありがとうございました。
第2回以降は、それぞれ1ヶ月ほど前に募集を開始します。
注意事項:
・受講者は当日の受講受付後、当日開催中の展覧会(含:庭園)にご入場いただけます。
・お電話、FAXではお申し込みできません。
・当日欠席される場合は、開始20分前までにご連絡ください。

【新型コロナウイルス感染症対策について】
館長講座に参加される方は、以下の点についてご協力をお願いいたします。
・当日体調のすぐれない方は、参加をお見送りください。
・美術館の入口で検温をさせていただきます。
(37.5℃以上の方は入館できませんので、あらかじめご了承ください)
・手指の消毒の励行をお願いいたします。
・参加者は、必ずマスクの着用をお願いいたします。
・マスクを外す際は、会話はお控えください。
・極力接触を避けるため、参加費については、つり銭のないようお願いいたします。
・その他、美術館の諸注意、指示に従っていただきますよう、お願いいたします。

講師紹介

  • 東京都庭園美術館館長 樋田豊次郎 1950年生まれ。1979年より東京国立近代美術館工芸館に勤務。2007年に秋田公立美術大学理事長及び学長に就き、16年から東京都庭園美術館館長。日本ならではの造形芸術として「工芸」の再評価を試みてきた。主な展覧会は「ヨーロッパ工芸新世紀」(1997)、「工芸の領分」(1994)等。著書は『明治の輸出工芸図案-起立工商会社工芸下図集』(1987)、『工芸の領分-工芸には生活感情が封印されている』(2006)他多数。