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館長講座「様々なるアール・デコ 5選」第4回 アフリカの女 African Woman  ジャン・デュナンの漆パネル

イベント

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館長講座「様々なるアール・デコ 5選」

平成30年度に引き続き館長講座を開催します。
年間テーマを「様々なるアール・デコ 5選」とし、回ごとに主題となる作品や建造物を変えながら、樋田館長独自の視点でアール・デコの特徴を紐解いていきます。5回の講座ですが、それぞれの回に単独で受講することができます。場所は正門横のレストラン デュ・パルクです。緑に囲まれた気持ちよい空間で、寛いだ雰囲気の中での講座はまさに当館ならではです。是非ご応募ください。

【講師から】

2019年度の館長講座のテーマは「アール・デコ」です。これをテーマに選んだ理由はただひとつ。それはアール・デコが、誕生してから百年近く経つのに、いまだに私たちの心を捉えて放さない、その理由を突き止めてみたいからです。

アール・デコのイメージは両義的です。一面では、それは機械文明、都会の先進性、瀟洒なインテリア、シャープなデザインなどのように、生活空間を洗練させるべく励んできた人間の精神を賛美するイメージです。ですが他面では、それは商業主義、実利追求、金ピカ趣味、はたまた投機対象などのように、世俗にまみれてきた人間の経済活動を象徴するイメージでもあります。

これらのイメージは、対立しているでしょうか。そうも見えますが、実はどちらも人間の欲望の成果だったという点では通底しています。 2019年度の館長講座では、こういう「欲望の成果」という視点から、アール・デコの生命力の秘密を探ります。早い話が、理知的な観念の側からではなく、欲望に基づくイデオロギーの側から、仕立てのよい衣服に身を包んだ紳士淑女たちの心の底を覗き込んでみようというのが眼目です。

4回:
終了しました。
2019年12月4日(水)14:30〜16:00
アフリカの女 African Woman  ジャン・デュナンの漆パネル
[構造主義(オリエンタリズム)のアール・デコ] 

1928-30年制作、メトロポリタン美術館蔵
制作:ジャン・デュナン Jean Dunand(1877~1942)
92.1×64.1cm、漆・木製パネル・緑青

5回:
2020年2月5日(水)14:30〜16:00
植民地博物館 Musee des colonies  パリ国際植民地博覧会の建築物
[帝国主義(啓蒙主義)のアール・デコ] 

1931年竣工、293 avenue Daumesnil 75012 Paris
建物はポルト・ドレ宮(Palais de la Porte Doree)と呼ばれ、
2007年以降は移民史博物館として使われている
設計:アルベール・ラプラード Albert Laprade(1883~1978)

1回:
終了しました。
2019年4月3日(水)14:30〜16:00
ノルマンディー号  SS Normandie  フランスの外洋豪華客船
[古典主義(保守主義)のアール・デコ] 

1935年竣工、1942年火災で転覆、1946年解体
建造・運航:大西洋横断総合会社(Compagnie General Transatlantique)

 第1回講座では、ノルマンディー号(S.S. Normandie)のアール・デコを取り上げます。
ノルマンディー号は、フランスが国威をかけて建造した外洋豪華客船でした。処女航海は1935年5月。竣工時には世界最大・最速の船でした。横浜港に係留されている氷川丸はその5年前の竣工ですが、これと較べると全長で2倍、総トン数で7倍、速力で1.8倍、旅客乗組員定員で10倍の威容を誇っていました。まさに近代科学の結晶でした。
ところがそれでいて、船内を飾る壁画は、「オーロラ(曙の女神)の戦車」や「馬の調教」のような古代神話をモチーフにしていました。当時流行していたアール・デコにおける、古典主義の傾向が選ばれていたのです。ノルマンディー号は、「進歩主義の到達点」であると同時に「ノスタルジーの宮殿」だったわけです。
人間のどのような欲望が、アール・デコの古典主義絵画を、スピードを誇る最新鋭船の居室空間に設置することを求めたのでしょうか。


ニューヨークのノルマンディー号

2回:
終了しました。
2019年6月5日(水)14:30〜16:00
クライスラービル Chrysler bldg. ニューヨークの摩天楼
[近代主義(革新主義)のアール・デコ] 

1928年起工、1930年竣工、405 Lexington Avenue Manhattan Borough
設計:ウォルター・クライスラーが、ウィリアム・ヴァン・アレン
William Van Alen(1882~1954)に依頼

3回:
終了しました。
2019年8月7日(水)14:30〜16:00
ガラスの家 La maison de Verre パリのダルザス夫妻の医院兼住居
[機能主義(合理主義)のアール・デコ] 

1927年頃着手、ガラス、鉄、
31 Rue Saint-Guillaume, 75007 Paris
設計:ピエール・シャロー Pierre Chareau(1883~1850)

場所:東京都庭園美術館敷地内 レストラン デュ・パルク
時間:各回 14:30~16:00(90分)
講師:東京都庭園美術館館長 樋田豊次郎
定員:各回40名(先着順、定員に達ししだい締め切らせていただきます)
各回ともそのつど募集いたします。

参加費:1名様 1,200円 ※展覧会の招待券、年間パスポート、庭園パスポート等をお持ちの方も同額です。
第5回は、1ヶ月ほど前に募集を開始します。

注意事項:
・受講者は当日の受講受付後、当日開催中の展覧会(含:庭園)にご入場いただけます。
・お電話、FAXではお申し込みできません。
・当日欠席される場合は、開始20分前までにご連絡ください。

お問合せ先
東京都庭園美術館 事業係 館長講座担当
Tel 03-3443-0201 Fax 03-3443-3228
E-mail:info@teien-art-museum.ne.jp

講師紹介

  • 東京都庭園美術館館長 樋田豊次郎 1950年生まれ。1979年より東京国立近代美術館工芸館に勤務。2007年に秋田公立美術大学理事長及び学長に就き、16年から東京都庭園美術館館長。日本ならではの造形芸術として「工芸」の再評価を試みてきた。主な展覧会は「ヨーロッパ工芸新世紀」(1997)、「工芸の領分」(1994)等。著書は『明治の輸出工芸図案-起立工商会社工芸下図集』(1987)、『工芸の領分-工芸には生活感情が封印されている』(2006)他多数。