会場:東京都庭園美術館(本館・新館ギャラリー1・2)
クリスチャン・ボルタンスキー インタビュー
フランスの現代美術家クリスチャン・ボルタンスキー(1944年-)は、映像作品やパフォーマンス性の高い作品を制作していた初期から現在まで一貫して、歴史の中で濾過される記憶の蘇生、匿名の個人/集団の生(存在)と死(消滅)を表現してきました。
自己の幼年時代の再構築にはじまるボルタンスキーの記憶をめぐる探求は、次第に他者の記憶のアーカイヴへとその主題を移し、1980年代には、ヨーロッパを中心に歴史認識を再考する議論が活発化した社会状況や、ユダヤ系フランス人の父親の死に呼応するように、先の大戦にまつわる歴史と記憶、殊にホロコーストを想起させるようになります。写真や衣服、ビスケットの缶などごく日常的な素材に人間の根源的なテーマを滑り込ませるインスタレーションは、それを知覚する鑑賞者の感情を揺り動かし、見るものと見られるものの記憶の交錯を生み出します。
東京で初個展となる本展では、時代の転換期の中で重ねられた歴史と、往来した人々の記憶を宿す旧朝香宮邸で、<亡霊たち>のさざめく舞台が展開します。踊る影に、名もなき人々の眼差しに、遠い地で微かな音色を奏でている数百本の風鈴に、そしてささやく「声」に、<亡霊たち>は立ち現れます。この<亡霊たち>は、すでに失われた過去のものではなく、「アニミタス」という言葉の語源が「霊魂」のほかに「生命」をあらわすように、今ここに存在しないもの(あるいは、したかもしれないもの)、まだ生まれていないものたちが、この世界に確かに存在し、そうした無数の「他者」と共に私たちは生きているということを伝えるものです。
ここ東京都庭園美術館で<亡霊たち>と鑑賞者の眼差しが出会うたびに、時間と空間と記憶が入り混じり、美術館を超えて世界を知覚するための新しい眼差しが生まれるでしょう。
会期:
2016年9月22日(木・祝)– 12月25日(日)
会場:
東京都庭園美術館(本館・新館)
休館日:
第2・第4水曜日(9/28、10/12・26、11/9・24、12/14)
*ただし11月23日(水)は祝日のため開館、翌11月24日(木)は休館。
開館時間:
10:00–18:00
*ただし11月25日(金)、26日(土) 、27日(日)は夜間開館のため20:00まで
(いずれも入館は閉館の30分前まで。)
観覧料:
一般:900(720)円
大学生(専修・各種専門学校含む):720(570)円
中・高校生・65歳以上:450(360)円
※上記観覧料で「アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間」展もご覧いただけます。
( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。
小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者一名は無料。
教育活動として教師が引率する都内の小中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)。
第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料。
前売り券e+(イープラス)にて発売中
企画・主催:
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、朝日新聞社
後援:
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、
日仏会館フランス事務所
協力:
アニエスベージャパン株式会社、エールフランス航空
年間協賛:
戸田建設株式会社
左から:《アニミタス》(小さな魂)、2015年 ヴィデオプロジェクション(《アニミタス》13' 06)、インスタレーション(花、干草、木製ベンチ) Photo: Rebecca fanuele Courtesy the artist and Marian Goodman Gallery/《影の劇場》1990年 16のオブジェ(メタル、カードボード、ワイヤー、カセットテープ、木、葉など)、プロジェクター、ファン、コンバーター サイズ可変 Photo: André Morain Courtesy the artist and Marian Goodman Gallery/《まなざし》2013年 布地にプリント、電球、ワイヤー、電線 サイズ可変
ページ上部:《アニミタス》(小さな魂)、2014年 Photo: Angelika Markul Courtesy the artist and Marian Goodman Gallery