メディチ家に伝わる珠玉のコレクション、日本国内初公開
フィレンツェウフィツィ美術館(銀器博物館)には、ルネサンス芸術の庇護者だったメディチ家の財宝が集められています。なかでも「芸術家の性格と君主の魂を持つ」と言われ、フィレンツェの「黄金時代」を築いたロレンツォ・イル・マニフィコ(大ロレンツォ)を魅了した古代や中世のカメオは本展の見どころの一つです。ルネサンスの人々は古代ギリシャ・ローマの文化に高い関心を持ち、神話からインスピレーションを得て多くの作品を制作しました。本展にも《ナクソス島のバッカスとアリアドネ》、《優美神にかしずかれるウェヌス》、《ミネルヴァとヘビを絞め殺す幼児ヘラクレス》など、古代の神々や神話をモチーフにしたカメオが多数出品されます。アジアでも初公開となる珠玉のコレクションをお楽しみください。
ジュエリーと肖像画が語るスキャンダルに満ちた一族の栄光と悲劇
本展では歴代メディチ家当主や妃の肖像画約20点と彼らにまつわるジュエリー約60点が展示されます。フィレンツェの「黄金時代」を築いたロレンツォ・イル・マニフィコ、初代トスカーナ大公コジモ1世、フランス王アンリ2世の妻となったカテリーナ・デ・メディチ、フランス王アンリ4世の妻となったマリア・デ・メディチ、そして、メディチ家の財産を「フィレンツェから持ち出さない、一般に公開すること」を条件にトスカーナ大公国に全て遺贈したメディチ家最後の血族アンナ・マリア・ルイーザ。それぞれが一言では語り尽くせない波乱万丈の人生を生きたメディチ家の人々の肖像画と彼らにまつわるジュエリーが、フィレンツェ公、そしてトスカーナ大公家となった一族の歴史を物語ります。
日本初公開、17歳でこの世を去ったマリア・デ・メディチの肖像画
日本初公開となる《マリア・ディ・コジモ1世・デ・メディチの肖像》。ここに描かれている女性は、初代トスカーナ大公となったコジモ1世と妻でスペイン貴族のエレオノーラ・ディ・トレドの長女です。マリアの母親エレオノーラは美貌の持ち主で知られており、コジモ1世に大変愛されました。この肖像画をみると娘のマリアも母親譲りの美しい女性だったのでしょう。17歳という若さでこの世を去った時、コジモ1世はその死を大変悲しんだと言われています。肖像画はブロンズィーノ(1503-1572年)作で、作品特有の滑らかな肌の質感の美しさが光ります。
アール・デコ様式の空間でメディチ家の至宝を堪能
アール・デコの館として知られる当館は1933年に朝香宮の邸宅として建設されました。邸宅という親密な空間の中で展示しているため、作品をより身近に感じることができます。その空間の中で、メディチ家の人々の肖像画、そして彼らが身につけていたであろうジュエリーを鑑賞すると、ルネサンス時代の人々の息遣いを身近に感じることができるかもしれません。庭園美術館ならではの展示をお楽しみください。