南側の庭に面したテラスを控え、朝香宮邸のなかでも最もアール・デコの粋が集められているのが、この大客室と次に続く大食堂です。ルネ・ラリック制作のシャンデリアをはじめ、銀引きフロスト仕上げのエッチング・ガラスを嵌めこんだ扉や大理石の暖炉の装飾等、この部屋では幾何学的にデザインされた花が主なモチーフとして用いられています。イオニア式柱頭をもつ柱はシコモール材にラッカー仕上げで金茶のつやを出し、天井には漆喰仕上げのジグザグ模様が施されています。壁面の上部を囲むようにキャンバス地に描かれた壁画はアンリ・ラパンによるものです。
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内装:アンリ・ラパン)