森と芸術−私たちの中にひそむ森の記憶をたどってみよう
2011年4月16日(土)〜7月3日(日)

 はるかな昔、人間は森に住み、森の恵みを糧に暮らしていました。のちに森を離れて文明を築くようになってからも、人間は森という故郷に「楽園」の思い出を重ね、ノスタルジアを抱きつづけてきたのです。
 古今の芸術作品のなかにも、そうした原初の森への郷愁や憧れがあらわれています。森の神話・伝説を描く絵画、情感ゆたかな風景画、メルヘン絵本、植物文様をもつアール・ヌーヴォーのガラス器など、森の魅惑を体現する作品の数々が展示されます。
 アンリ・ルソーの楽園図、クロード・ロランにはじまる各時代の風景画、セリュジエやゴーガンの描く伝説の森、グリムやアンデルセンの挿絵、シュルレアリスムの森の幻想と神秘・・・・本展は、そうした森にかかわる多くの作品を通して、私たちのうちにひそむ「森の記憶」をさぐり、芸術・文化から自然界へと視野をひろげてゆきます。
 東京都庭園美術館は都心の森にかこまれた、世界にも稀なアール・デコ様式の邸宅美術館です。美しい森の雰囲気をそなえたその館内で、さまざまな風景と幻想とメルヘンに出会ってみませんか。