建築の記憶
  2008年1月26日(土)―3月31日(月

 当館は、日本に現存する数少ないアール・デコ様式の建築であり、いまでも当時の優美な外観と内部の装飾を保ち続けている希少な存在です。しかし、竣工時の朝香宮邸の写真を見ると、細かい部分では現状と異なっており、当時の姿を記録した 写真は、資料としての重要な価値があるといえるでしょう。庭園美術館のように現存する建築ではなく、すでに取り壊されてしまった建築物などは、写真でしかその姿を見ることはできず、写真は建築の歴史を知る上で不可欠な存在なのです。

本展では、記録として撮影された明治期の建築写真から、独自の表現で建築の魅力を切り取った現代の建築写真までを展示します。近代から現代の日本の建築を、同時代の写真家がどのように撮影し、発表したかを辿ることで、建築と写真双方の歴史の変遷と接点を見ることができます。建築写真と、建築図面やスケッチ、その建築が紹介された雑誌などをあわせて展示することにより、これまで語られることのなかった建築と写真の関係を見つめ、写真をとおして、それぞれの時代を象徴する建築に対する人々のイメージを検証していきます。