北欧のスタイリッシュ・デザイン ―フィンランドのアラビア窯
  2006年4月22日(土)- 6月18日(日)

  アラビア窯は、1873年、フィンランドのヘルシンキ郊外のアラビア地区に設立されました。翌年の10月に操業を開始したこの製陶所の名前は、その地名に由来します。当初はスウェーデンのロールストランド窯の傘下にありましたが、多くの芸術家たちを登用して洗練されたデザインを次々に生み出し、1916年に独立します。以来、アラビア窯はフィンランドの国民的なやきものとして、人々の日常生活や祝いの日に欠かせないものになりました。

  アラビア窯の特徴は、世界的に知られる高い水準のデザインにあります。1932年にはアラビア・アート・デパートメント(芸術部門)を設立し、デザイナーや芸術家を招いて制作活動を奨励するとともに、彼らから優れたプロダクト・デザイン(生産品のデザイン)の提案を受けました。1945年には北欧デザインの第一人者、カイ・フランク(1911-1989)をデザイナーに迎えます。彼の考案した機能性とデザイン性を兼ね備えたテーブル・ウェアは、アラビア窯の名を一躍世界的なものにしました。

  本展では、北欧を代表する陶磁器である、アラビア窯の設立当初から現代までの作品140点を展示し、フィンランド陶磁器におけるデザインの軌跡と現代陶芸の多様な表現について紹介します。