没後25年 八木一夫展
  2005年7月2日-8月21日

 陶芸の世界に新しい造形分野を提示した陶芸家八木一夫の、初期から晩年までの作品によりその業績を回顧するものです。八木一夫(1918-1979)は京都に生まれ、京都市立美術工芸学校、国立陶磁器試験場に学びました。戦後の1948(昭和23)年、鈴木治、山田光、松井美介、叶哲夫とともに陶芸集団「走泥社」を結成し、前衛的な陶芸を発表します。このグループはその後、50年にわたり前衛陶芸を育てる役割を果たします。

  《ザムザ氏の散歩》(1954年)は、カフカの小説『変身』の主人公が、一夜にして昆虫に変身したことを題材に制作したもので、八木自身の変身と重ね合わせたものです。この作品は、日本陶芸界の記念碑的作品となりました。ロクロで成型した円環を横向きに立て、そこに昆虫の触角や脚を思わせる、これもロクロで成型した円筒をつけたものです。
  八木一夫はイサム・ノグチ、河井寛次郎、富本憲吉、堀内正和らと、幅の広い交流関係を持ち、お互いの制作にも影響を与え合いました。八木は60歳で突然の死を迎えましたが、彼の革新的な造形世界は日本陶芸の新しい可能性を示しました。