ジェームズ・アンソール展-ベルギーが生んだ異端の芸術家
  2005年4月23日-6月12日

 ベルギーの海辺の都市、オーステンドに生まれたジェームズ・アンソール(1860−1949)は幻想的な「仮面の画家」として知られていますが、その出発点は「リアリズム」でした。若きアンソールは外光派的表現を取り入れた写実によって、故郷の海辺の風景や静物、人物などを描いていたのです。
 やがてアンソールの作品には仮面や骸骨といった不気味なモチーフが登場してきます。彼はグロテスクな幻想に人間の真実を見出そうとしたのです。こうした表現には中国や日本の美術の影響が指摘され、葛飾北斎による「北斎漫画」を模写したりしています。アンソールはまたキリスト教の物語や歴史、政治的・社会的主題なども描きますが、そこには皮肉や鋭い風刺が込められています。

 本展では、アンソールの初期から晩年までの油彩、素描、版画、約140点により、その知られざる側面も含め画家の全貌を紹介します。

《仮面と死神》1897年 リエージュ市立近現代美術館蔵
(c)SABAM,Bruxelles&SPDA,Tokyo,2005