シルクロードの装い−パリコレに花開いた遊牧民の美ー
 2004年4月24日(土)−6月20日(日)

 古来より東西交易で栄えたシルクロードは、その交易によって世界の染織技術がもたらされ、様々な染織世界が開花しました。
遊牧生活から生み出された染織品は、過酷な自然環境から人々の身を守ために強靱に作られていながらも、豊かな色彩と官能的な文様を持ち、実用に即した美しさに溢れています。またそれらは、民族の誇りを表し、家族の繁栄を希求する願いが込められ、現在に至るまでその精神と伝統は脈々と受け継がれています。私たちはこれまで、それらの染織品をほとんど目にすることができませんでしたが、1991年のソヴィエト連邦崩壊によって、中央アジア・シルクロード地域(ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタン、カザフスタン)の伝統的な染織・衣装に触れることができるようになりました。
現代のファッション・デザイナーたちは、シルクロードの伝統染織を最新モードに取り入れ、フォークロア・コスチュームに新たな世界観を与えています。1996年の秋冬パリ・コレクションにジョン・ガリアーノが発表した作品は、シルクロードの遊牧の民「ノマド」をテーマにした創造的な作品でした。近年では、2001年、ロシア出身のセレディン&ヴァシリエフが、伝統染織品「スザニ」を使ったドレスを、パリ・コレクションに発表しています。

本展覧会では、デザイナーたちによる現代のシルクロード・ファッションと、そのデザインの創造源となったシルクロードの民族衣装や装身具を一堂に会し、民族衣装の魅力を再認識するとともに、最新モードの創作のルーツを探ります。