1F 次室(つぎのま)・香水塔

 庭に面した次室は大広間から大客室へのつなぎの役割をもっています。白色のセーヴル製香水塔、モザイクの床、黒漆の柱、オレンジ色の人造石の壁、そしてガラス窓より広がる庭園の緑・・・これらが織り成す色彩のハーモニーは、大広間の落ち着いた色調とは対照的にアール・デコ特有の華やかな空間を形成しています。白漆喰の天井は半円球のドームとなっており、装飾過多になりがちな空間に調和をもたらしています。この小さな空間においても材質、色彩にアール・デコの特徴が顕著にあらわれています。
 香水塔(PerfumeTower)はアンリ・ラパン(Henri Rapin)が1932年にデザインし、国立セーヴル製陶所で製作され、フランス海軍より朝香宮家に寄贈されたものです。朝香宮邸当時は上部の照明内部に香水を施し、照明の熱で香りを漂わせたという由来から、後に香水塔と呼ばれるようになりました。フランス、セーヴル製陶所では”Vase Lumineux Rapin”(ラパンの輝く器)と記録されています。
(内装:アンリ・ラパン)